2016年5月 6日

平成27年度第2回定例会における代表質問(全文)

大変遅くなりましたが、昨年6月の第2回定例会で、民主党かながわクラブ県議団(当時)政調会筆頭副会長として、本会議で行った代表質問の議事録全文を掲載させていただきます。
今年度、予算化された青少年の居場所神奈川県地震防災戦略に「帰宅困難者」をもりこむ提言など、その後実現したものも多くあり、実りある質問となりました。


市川よし子議員 議長のお許しをいただきましたので、私は民主党・かながわクラブ県議団を代表して、通告に従い、順次質問いたします。
  知事、教育長におかれましては、明快なご答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様方におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。
  質問に入ります前に、一言申し上げます。
  2020年オリンピック東京大会のセーリング競技会場が江の島に決定しました。本県にとって明るいニュースに新たな発展への期待が膨らむ一方で、非正規雇用の拡大などから所得の格差が開き、日々の生活に困窮する方々が増加しているのもまた事実であります。
  経済のエンジンを回すとともに、その光を隅々まで照らし、県民の暮らしをいかに豊かにしていくのか。我々民主党・かながわクラブ県議団は、常に県民の皆様方の目線に立ち、一人一人の命を大切に、そして暮らしを支える県政をという理念のもと、その実現に向け、県民とともに歩むことを改めて表明し、以下質問に入ります。
  私の質問の第1番目の柱は、県民のいのちをささえる重要課題についてでありますが、この点については、以下2点にわたりお伺いいたします。
  まず初めに、地震防災戦略の改定について伺います。
  死者・行方不明者が1万8,000人を超える未曽有の大災害となった東日本大震災から4年が経過しました。これまでの地震防災対策の根幹を揺るがす、想定外の大規模災害の教訓を踏まえ、国や都道府県の取り組みが大きく見直され、我が国の地震防災対策の大きな転換点となりました。
  国は、南海トラフ巨大地震及び首都直下地震の対策の方向性について、平成24年から検討を重ね、それぞれの地震の被害想定と、その対策を公表し、平成25年には、この二つの地震の特別措置法がそれぞれ施行され、この法律に基づき、本県にも影響がある基本計画の策定や減災目標の設定がなされたところであります。
  本県におきましても、国に平行して独自に調査委員会を設置し、平成25年度から2カ年をかけて、地震被害想定調査を実施し、先月、その結果が公表されました。
  この新たな被害想定調査の結果では、都心南部直下地震や南海トラフ巨大地震など、11の地震について被害量を算出し、六つの地震をメーンに位置づけています。六つの地震の中でも大正型関東地震では、死者が3万人を超えるという驚くべき結果が出ています。
  今回の調査では、新しい津波浸水予測も踏まえ、最新の知見や技術などを用いて被害量を算出しています。さらに、変化する被害様相と応急対策を整理したシナリオを作成するなど、すぐれた調査がなされたと評価するところであります。
  現在、本県の地震に対する対策の指針となっているのは、平成22年に策定された神奈川県地震防災戦略であります。この戦略は、当時、大きな被害が想定されていた三浦半島断層群の地震、また、津波では神奈川県西部地震を対象として設定され、それぞれ減災目標を定め、具体の対策を掲げています。
  今回、被害想定調査が出されたことにより、今後、この結果をもとに新たな対象となる地震を設定し、減災目標を立て、その目標達成のために有効な対策を明確にした地震防災戦略を改定すると承知しております。
  そこで、知事に伺います。
  この地震防災戦略こそが、本県の地震防災対策全体の鍵を握る大切なものであると思いますが、どのような考え方で改定するのか、ご見解を伺います。
  次に、高齢化を見据えた神奈川の地域医療のあり方について伺います。
  先般、国の医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会が、各都道府県の2025年の必要病床数の推計結果を公表しました。その結果は、全国で2013年には134万7,000床あった病床を、2025年には119万床程度まで1割余り削減する必要があるという衝撃的なものでありました。
  一方、本県においては、2025年には約7万2,000床の病床が必要となり、2013年の約6万3,000床に比べ、9,000床程度増床が必要になるとの報告がなされています。しかし、9,000床増床するといっても、ただ数がふえればいいというものではなく、提供される医療の内容が県民のニーズに合ったものである必要があると考えます。
  また、参考として、在宅医療などで追加的に対応する患者数が1万2,000人程度を超えるとされていますが、在宅医療や介護の受け入れ体制が十分整っているとは言いがたく、地域によって受けられるサービスに差があるのが現状であると認識しています。
  国は医療費の削減を目的としているように感じますけれども、本来、必要な医療を受けられる体制をしっかりと整備することを目的とすべきであると考えます。
  また、医療体制の整備に当たっては、医師会などの地域医療の担い手のご理解をいただくとともに、協力や連携が必要であります。そうしたことから、今回の推計結果に基づき病床の整備などを進めれば、県民が病院や在宅で必要とする医療が受けられるのか、不安を感じているところであります。
  そこで、知事に伺います。
  国による必要病床数の推計結果を受け、今後、高齢化を見据えた地域医療のあり方についてどのように考えていくのか、知事のご所見を伺います。
  以上です。
知事(黒岩祐治) 市川議員のご質問に順次お答えしてまいります。
  県民のいのちをささえる重要課題についてお尋ねがありました。
  まず、地震防災戦略の改定についてです。
  本県では、東日本大震災後に得られた新たな知見に基づき、地震被害想定調査を取りまとめました。想定された被害は、大正型関東地震で死者が約3万人と衝撃的なものでした。そこで、この調査結果をしっかりと受けとめ、減災の考え方を基本に地震防災戦略を改定します。
  まず、改定に当たっては、死者の数をいかに減らすかが最も重要であると考えています。地震被害想定調査では、さまざまな種類の被害を想定していますが、何よりも県民の命を救うためのアクションプランとします。
  また、有効な対策を優先的に実施していくことが重要であると考えています。甚大な被害を効率的に減らしていくため、減災効果の高い取り組みを選択して推進する計画といたします。
  さらに、減災のための数値目標を決めることが重要であると考えています。被害想定調査で最大の死者数を見込んでいる大正型関東地震などを対象として、減災のための数値目標を設定します。具体的には、この3月に国が首都直下地震緊急対策推進基本計画で設定したおおむね半減という減災目標を踏まえて、本県の減災目標を検討します。
  こうした考え方を基本として、本県の新たな地震防災戦略をつくり上げ、県民総ぐるみで減災に取り組んでまいります。
  次に、高齢化を見据えた神奈川の地域医療のあり方についてです。
  本県はこれまで経験したことのないスピードで高齢化が進展していることから、健康寿命を延ばすとともに、医療が必要になった場合の体制を整備することが急務となっています。
  具体的には、県民が急性期や回復期などの病状に応じて適切な医療機関に入院できたり、在宅で療養できるようにすることが重要です。また、地域によって高齢化の状況や医療資源の状況は異なりますので、その地域特性を踏まえた医療提供体制の整備が必要です。
  国の推計結果によると、本県は2025年に病床が約9,000床不足することに加え、在宅医療が必要な方が約1万2,000人ふえることが明らかになりました。そこで、今後、県としても改めて詳細な設計を行い、2025年に目指すべき医療提供体制やその実現のための施策を示す地域医療構想を地域ごとに策定します。
  策定に当たっては、医療関係者の皆さんと十分に意見交換して、医療機関の機能分担や在宅医療の環境整備など、必要な医療を確保するための方策について検討していきます。
  また、医療提供体制の整備だけでなく、医療と介護の連携や介護サービスの充実に取り組み、住みなれた地域で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築を進めていきます。
  あわせて、高齢になっても元気で生き生きと暮らせることが重要ですので、食、運動、社会参加を通じた未病を治す取り組みを強力に推進することにより、健康寿命の延伸を目指してまいります。
  答弁は以上です。

市川よし子議員 知事、ご答弁ありがとうございました。
  意見は後ほどまとめて述べさせていただくことにして、ここでは1点再質問をさせていただきたいと思います。
  地震防災戦略の改定について再質問いたします。
  地震防災戦略は、人的被害を減らすことが主たる目的であることはもちろん理解しています。しかしながら、人材育成、あるいは防災訓練など、防災上重要なさまざまな対策についても盛り込むことは不可欠であると思います。
  実は、平成22年に策定された現行の地震防災戦略には、帰宅困難者問題の対策は盛り込まれていません。しかしながら、東日本大震災で大きな課題としてクローズアップされたように、現在、首都圏においては、帰宅困難者対策を講じることは極めて重要な課題の一つです。
  今回出された被害想定では、想定される六つの地震で発生する帰宅困難者はそれぞれ50万人から61万人であるという膨大な数字が示されています。
  そこで、今年度改定する地震防災戦略には、対策の一つとして、帰宅困難者対策を盛り込むべきであると考えますが、知事のご見解を伺います。

知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。
  帰宅困難者対策を地震防災戦略に盛り込むべきというご質問であります。
  私も、大規模災害時には帰宅困難者対策が課題の一つであると認識しております。地震の直後、これは延焼火災や余震による被害を避けるために、無理に帰宅せず、学校や企業などに一定期間とどまっているということが必要であります。
  帰宅困難者対策というものは、防災上、非常に重要でありますので、地震防災戦略の対策の一つとして検討していきたい、そのように考えております。
  答弁は以上です。

〇市川よし子議員 ありがとうございます。
  おっしゃるとおり、あの大震災で、停電の暗闇の中、何時間もかけて歩いてご自宅へ帰られた方、また帰り切れずに途中の駅、あるいはそうした避難所で一夜を過ごされた県民も多くて、その記憶は今も私たちも鮮明であります。
  帰宅困難者については、対策が図られなければ、例えば極寒の季節でしたら凍死、あるいは混乱による将棋倒しなど、2次災害、3次災害も懸念されます。ぜひご検討をお願いいたします。
  今回の改定は、県民の命に直結する大変重要な改定となります。東日本大震災の経験で直面した新たな課題も踏まえ、実効性のある有効な対策の検討を強く要望させていただきます。
  また、高齢化を見据えた地域医療のあり方についても、一言要望させていただきます。
  地域ごとにきめ細やかに、これから戦略を立てていくというようなお話でございました。本当に必要な医療を本当に必要なところに提供できるような地域医療の構築をぜひとも要望させていただきます。


〇市川よし子議員 私の質問の2番目の柱は、子どもをめぐる新たな課題への対応についてです。
  子供の貧困や青少年が関係した凶悪事件の発生など、社会の変化に伴い、新たな課題がクローズアップされてきました。以下、そうした視点から3項目についてお伺いいたします。
  最初は、青少年の居場所づくりについてです。
  他者への顕著な無関心、あるいはLINEなどSNSが急激に普及している現状を背景に、私たちの見えないところで、青少年が思いもよらない事件や事故に巻き込まれるケースが多発しています。
  こうした中で、今年の2月に、川崎市の中1男子生徒が殺害されるという痛ましい事件がありました。現在、川崎市において、事件の検証や再発防止策の検討を進めているところですが、先日、その中間報告が公表されました。
  報告書では再発防止策として、地域ネットワークの活用や、市の関係部署の横断的な連携などとともに、子供の居場所のあり方の検討も盛り込まれています。
  地域に目を向けると、小学生には、放課後の居場所として学童保育などの受け皿がありますが、中学に上がると、そうした居場所は途端に狭まります。
  報道によると、川崎の事件では、部活をやめた少年が、夜の公園やアミューズメント施設などで非行少年グループとかかわりを持ち、結果的に痛ましい事件につながってしまったと聞いております。もし、彼に違う居場所があったならば、こう考えると、私も地域で市議をへて県議という職にあった者として、何かできなかったのか自責の念を禁じ得ません。
  青少年が健やかに育ち、その自立を社会が支えていくためには、安心・安全な居場所を用意することが重要です。
  この青少年の居場所づくりという観点から、県のこれまでの青少年施策を振り返りますと、高度成長期においては、地方から出てきた青少年に対し、健全な余暇活動の場を提供するために、青少年会館などを、直接、設置及び運営する形で施策を展開してきたと承知しています。
  その後、時代の変化による政策転換で、青少年会館等は市町に移譲し、現在、県では、ひきこもり等の困難を抱える青少年に特化し、地域の居場所づくりをNPOと協働で進めていることは承知しています。
  県は、これまでも、その時代の社会状況や課題に応じ、青少年の居場所づくりを進めてきたところでありますが、最近の青少年をめぐる問題を受け、県として、改めて、青少年の居場所づくりについて検討する必要があるのではないかと思います。
  そこで、知事に伺います。
  今後、青少年行政を進める上で、青少年の居場所づくりについて、どう取り組むのか、知事のご所見を伺います。
  次に、「確かな学力の向上」について伺います。
  神奈川の小中学生のみんなへ、基礎が弱いぞ、頑張れ。昨年11月、黒岩知事は県内公立小中学校の全児童・生徒に向け、メッセージを発表しました。読み、書き、計算は、みんなが大人になって、社会に出て働き、家庭を築き、生活していく上でとても大切ですと続く知事の言葉のとおり、読み、書き、計算の基礎学力の習得なくして、生きる力を涵養する確かな学力は望めません。
  小中学校を対象とした全国学力・学習状況調査の結果を見ると、神奈川県は全国平均とほぼ同等でしたが、詳細を分析すると、基礎・基本が弱く、知事のこのメッセージが発信されたと承知しています。
  過去の調査結果を見ても、全国平均を推移していることから、本県では結果が低かった都道府県で行っているような学力向上に特化する具体的な対策は特に講じてはこなかったと思います。
  しかしながら、今後に向け、気になる兆しも見受けられます。県が独自に実施している公立高等学校の学習状況調査結果を見ると、正答率の高いグループと低いグループに分かれる、いわゆる二極化の傾向が見られています。
  小中学校での基礎の弱さが高校での大きな学力の格差となり、この結果に影響しているのではないかと懸念されます。また、子供の貧困の観点から、家庭の経済的格差を学力格差につなげてはいけないという声も大きくなっております。
  このような中、国では、平成26年度から、土曜日の教育支援体制等構築事業をスタートさせました。
  私の地元川崎市では、この制度を活用して地域の寺子屋事業を開始し、学力向上等を目的とした学習支援を行っており、昨年度の8校から、今年度は21校に事業規模を拡大したと聞いています。
  本県でも、今年度から国の制度を活用して、土曜日の教育活動支援を開始しました。こうした取り組みは、子供たちの学力の向上に資するものと考えますが、開始早々ということもあり、実施市町村はまだ3市にとどまっています。
  環境や状況にかかわらず、全ての子供たちに確かな学力を身につけさせるということは大変重要なことであると考えます。
  そこで、教育長に伺います。
  黒岩知事も課題としてメッセージを発信したところですが、本県の子供の基礎学力の課題について、教育長として、どのように捉えているのか、見解を伺います。また、子供たちの確かな学力の向上に向けて、土曜日の教育活動の支援を含め、今後、神奈川県として、どのように取り組んでいくのか、あわせてご見解を伺います。
  次に、他会派においても質問がございましたが、視点を変えて、小児医療費助成事業について伺います。
  神奈川県では、小児の医療費に係る保護者の負担軽減を図ることを目的に、通院対象年齢を1歳未満まで、入院対象年齢を中学3年生までとして、県内市町村に対し、医療費の一部を補助する小児医療費助成事業を平成7年10月から始めました。
  その後、県では、各市町村からの要望を受けて通院対象年齢を見直し、平成15年には3歳未満に、平成20年には小学校就学前にそれぞれ引き上げています。
  各市町村においても、独自に通院対象年齢を拡大し、小学校6年生までを対象としている市町村が、平成27年4月時点で県内全33市町村のうち、22自治体あり、さらに今年度内に小学校6年まで対象を拡大する方向を示している自治体があと4自治体あると聞いています。
  一方、県内の人口の大半を占めている横浜市や川崎市の両政令市においては、それぞれ対象年齢が平成27年4月時点で、小学校1年生、2年生までとなっており、地域間格差の解消を望む声が高まっています。
  県内各市町村が通院対象年齢を独自に拡大してきた背景には、保育や教育など経済的負担が大きい子育て世帯から、せめて命にかかわる子供の医療費については、負担を軽減してほしいとの切実な要望が寄せられているためと思っています。
  小児医療費助成制度については、国の制度や県の支援が不十分なため、このように市町村によって対象年齢に差が生じていると指摘する声もありますが、子育てするなら神奈川と言うならば、本来、このような地域による格差が広がる状態は好ましくないことと考えます。
  そこで、知事に伺います。
  小児医療費助成に伴う県内各市町村の通院対象年齢が異なっている現在の状況をどのように認識しているのか、また、子育て世帯の声に対し、どう応えていこうと考えておられるのか、知事の思いを伺います。


知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。
  子どもをめぐる新たな課題への対応についてお尋ねがありました。
  まず、青少年の居場所づくりについてです。
  青少年が健全に育ち、自立を社会が支えていくには、安心・安全な居場所の存在が大切です。これまで県は、ひきこもりやニートなど、困難を抱える青少年が自立に向けて踏み出すことができるよう、安心して交流、相談できる居場所づくりに取り組んできました。
  具体的には、現在、県内36のNPOと連携して、ひきこもりの青少年にフリースペースを提供しています。また、9団体と、昨年度、相談支援に取り組んだ結果、約8,600件の相談を受けとめることができました。
  しかし、本年2月に川崎市で中学1年生が殺害される事件が発生するなど、ひきこもりやニートとは異なる、家庭に安心できる場所が見つけられず、学校や地域にも行き場のない青少年に対する居場所づくりが新たな課題となっています。
  そのため、身近に頼れる大人がおらず、まちをさまよう青少年を孤立させないよう、学校や青少年指導員に加え、NPOや企業など、地域のさまざまな力を結集して居場所づくりに取り組むことが重要です。
  今年度、県では、青少年施策の道しるべであるかながわ青少年育成支援指針の改定を予定しており、この中で、子供の貧困などの課題も踏まえ、青少年の新たな居場所づくりにしっかり取り組んでまいります
  次に、小児医療費助成事業についてです。
  小児医療費助成制度は、子供の健やかな成長と保護者の経済的負担の軽減を図るため、実施主体である市町村に対し、県が補助を行っているものです。
  県の補助対象年齢は、市町村からの通院に関する引き上げ要望を受け、市町村との協議の結果、平成20年10月にそれまでの3歳未満から、小学校入学前に引き上げました。これは、小学校入学前の子供は病気にかかりやすく、病状が急変しやすいために、医療費の負担が重くなるという理由によるものです。
  一方、市町村では、これまで県の補助基準を超えて通院の対象年齢を引き上げてきています。これは、市町村が政策の優先順位を考える中で、それぞれ独自に判断された結果であると認識しています。
  小児医療費助成制度は全国で実施されており、県としては、国の社会保障の中に位置づけるものと考えています。そこで、国の責任において、統一した制度を創設するよう継続して国に提案しているところです。
  子育て世代のニーズは多岐にわたりますので、将来を担う全ての子供たちが健やかに育つことができるよう、県は今後も子育て世代の声を十分酌み取りながら、子ども・子育て支援にしっかりと取り組んでまいります。
  私からの答弁は以上です。


〇教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。
  確かな学力の向上についてお尋ねがありました。
  まず、子供の基礎学力の課題についてですが、昨年度の全国学力・学習状況調査では、本県は全国の平均正答率と比べて同程度という結果でした。ただし、小中学校の国語、算数、数学の基礎的な知識を問う問題では全国平均を下回っていました。
  特に、小学校では全国平均との差が開いていく傾向にあります。例えば、算数では、全国平均との差が平成21年度はマイナス0.6%、26年度はマイナス1.2%と拡大しています。こうしたことから、公式を使って計算することや、漢字を書くことなどの基礎的な知識の定着について課題があると認識しております。
  このような学習状況調査の結果を受け、昨年度は県教育委員会の指導主事が全ての市町村を訪問し、その改善に向けて繰り返しの学習などの取り組みを働きかけたところです。
  学力を向上させるためには、何よりも子供たちの学習意欲を高めることが重要です。そのため、引き続き各学校においてわかる授業を実践することで、子供たちがみずから学ぶ姿勢を育むことに取り組んでまいります。
  具体的には、今年度、県内の小中学校から8地域35校の実践研究校を指定し、わかる授業づくりの研究に取り組み、その成果を全県に普及していきます。
  また、今年度から新たに土曜日の教育活動支援事業を市町村への補助事業として行っています。例えば、土曜日の公民館などで、地域にお住まいのエンジニアの方が科学実験教室を開催するなど、さまざまな学びの場を提供しています。
  県内の各地域におけるこの取り組みでは、学習支援も行われています。そこで、こうした先進的な事例を市町村指導主事会議等で情報提供し、その実施を働きかけていきます。
  今後もこれらの取り組みにより、子供の学習意欲を高め、確かな学力がしっかりと身につくよう対応してまいります。
  以上でございます。

〇市川よし子議員 
それぞれご答弁ありがとうございました。
  まず、1点再質問をさせていただきたいと思います。
  確かな学力の向上について再質問をさせていただきます。
  神奈川県は塾に通っておられる子供さんが多いところでも知られています。家庭の経済状況により、学力の格差が生まれるのではないかということが懸念されているわけでございますけれども、さらに平成27年3月には、「神奈川県子どもの貧困対策推進計画」が策定され、学校をプラットホームとした総合的な子供の貧困対策の展開として、確かな学力向上の推進、これが掲げられています。
  家庭の経済状況にかかわらず、学校で全ての子供さんたちに確かな学力を身につけさせることが必要であると考えますが、教育長のご所見を伺います。

〇教育長(桐谷次郎) 市川議員の再質問にお答えします。
  家庭の経済状況にかかわらず、全ての子供たちに確かな学力を身につけてもらうことは学校教育の重要な役割と認識しております。
  そこで、県教育委員会では、引き続きよりよい授業づくりを目指し、全ての子供が確かな学力を身につけられるよう、教育活動を行っていきます。あわせまして、スクールソーシャルワーカーを活用し、関係機関と連携しながら子供が安心して学習できるよう、家庭環境の改善に向けた取り組みも進めてまいります。
  以上でございます。

〇市川よし子議員 今ご答弁をいただいたんですけれども、教育というのは人づくり、そして人づくりは国づくりの基本である。私は政治の教育というのは、基本中の基本だと思っています。特に、子供の貧困対策というところでも、いろいろな問題が提起されていますけれども、育った家庭の環境で学力の格差がついて、それがひいては貧困の連鎖につながっていく、こんなことは絶対にあってはならない。もしも、そういう方向に向かっていくことがあるのならば、教育という力で断ち切っていかなければいけないと思います。
  全ての子供にしっかりと確かな学力を身につけさせる取り組み、これは非常に難しいいろいろな手があると思うのですけれども、特にお願いをしたいと思います。
  そして、生活保護世帯のお子さんには、保福関係からいろいろな支援というのが制度としてあるのですけれども、そこまで至らない、本当に生活が苦しいんだけれども、至らないというご家庭で一番生活が苦しいという実態があります。そうしたご家庭のお子さんたちをしっかりと捉えていただいて、きっちりと学力をつけさせる取り組みをしていただくような取り組みを、あわせてお願いをさせていただきたいと思います。
  続いて、要望を申し上げます。
  青少年の居場所づくりについてであります。
  知事、本当にご答弁ありがとうございました。
  私も川崎が地元なので、今回の事件は心が自分でも痛んだ思いがいたします。小学校には学童という居場所があるんですけれども、中学に上がると、途端になくなるというお話を質問でさせていただいたんですが、これは私が以前から地域で多くの皆様方からご指摘をいただいた課題でもあります。
  私の地元の川崎の場合、わくわくプラザという事業をやっているんですが、これが中学、高校に上がると、公の居場所はどこになるのかというと、その位置づけはこども文化センターというところになるんですね。
  ところが、市川さん、こども文化センターという名前のところへ、中学生、高校生が果たして通うんだろうかと、私もこ文、こ文と言っているんですが、こども文化センターへ行って、残念ながら、中学生、高校生さんというのは見たことがほとんどなかったです。
  本当にこの居場所の問題は地域から大きな課題として、前々から声が上がっていたところでございます。高度成長期のように、行政が直接、居場所づくりを直営で施設を設置したりする時代は確かに終わったのかもしれません。しかし、特別な施設をつくらなくても、テーブルと椅子があって、安心しておしゃべりをしたり、あるいは宿題をする場所があるだけでも、子供たちにとっては十分に意味があることになると思います。ぜひとも新たな取り組みを期待しております。よろしくお願いいたします。
  続いて、小児医療費助成事業についてです。
  この助成事業については、県議会でも平成25年10月に小児医療費無料化制度の創設等を求める意見書を全会一致で可決をしています。子供の福祉の増進や保護者の経済的負担の軽減につながる施策として、小児医療費の助成拡充は非常に重要な取り組みであり、小児医療費助成を拡充する自治体が相次いでいるという現状は、高い県民ニーズのあらわれであると考えます。
  こうした県民の声を酌み取っていただき、先ほど申し上げたように、自治体間に格差がすごく開いているんですね。この制度の格差の内容が少しでも解消されるように、県においても、ぜひとも補助率の見直しなども含めて、取り組みを考えていただきたいと要望させていただきたいと思います。
  また、国に対してのお答えがありました。おっしゃるとおりだと思います。本来だったら、全国どこに行っても、一律同じ助成が受けられる、これが本当はしかるべき姿と私も思います。
  これはただ単に制度要望というので、一文書いて終わるのではなくて、ぜひともメッセージ力の高い黒岩知事みずから、この制度の拡充、これを特化して要望を行っていただくなど、見える形も含めたさまざまな方法で、ぜひとも働きかけを行っていくこと、これもあわせて強く要望させていただきます。

〇市川よし子議員 私の質問の三つ目の柱は、県政の諸課題についてです。
  以下、2点についてお伺いします。
  最初に、外国人介護人材の養成・確保について伺います。
  昨年6月、医療介護総合確保推進法が成立し、地域医療介護総合確保基金が創設されました。この基金は、高齢化が一段と進展する2025年に向けて、地域における医療・介護サービスの提供体制を強化するため、各都道府県に設置されたもので、基金の事業として、今年度からは、新たに介護分として、介護施設等の整備に関する事業や介護人材の確保に関する事業が対象とされています。
  そのうち、介護人材の確保に関する事業の一つとして、県では、介護の仕事に意欲のある外国人を技能実習生として県内の介護施設等で受け入れ、介護福祉士の資格取得及び県内の定着に向けて支援するための予算案を、この6月補正で計上しています。
  しかし、外国人介護人材の受け入れに関しては、文化や言葉の違いによるコミュニケーションの難しさや、せっかく資格を取得しても母国に帰国してしまう人もいるなどの課題を指摘する声もあります。
  また、この取り組みは、介護の現場に安価な労働力として外国人を呼び寄せ、ひいては、行き過ぎた規制緩和の拡大につながり、日本人、外国人押しなべて、働く方々の処遇や労働環境を不安定にするのではないかという懸念があると考えます。
  そこで、知事に伺います。
  外国人介護人材の養成・確保対策について、こうした懸念にどのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。
  最後に、朝鮮学校に通う子どもたちへの学費補助について伺います。
  外国人学校に通う子供たちへの学費補助については、平成26年度当初予算の審議を経て、昨年度より新たにスタートしたところであります。
  本県には、北朝鮮による拉致被害者のご家族の方がお住まいであることもあり、県民へのご理解を十分に得るためにも、その審議に当たっては、議会として慎重を期して議論を重ねてきたと承知しております。
  そうした中、6月13日に朝鮮学校における寄附金について、一部新聞報道がありました。既に他会派の質問に対し、黒岩知事より、保護者に配付されたプリントを確認し、寄附を求める際に、学費補助は経常費補助にかわる補助金制度という間違った表現が使われたことは甚だ遺憾であるとの答弁がありましたが、児童・生徒に対する学費補助という新しい制度の趣旨と異なる説明をして保護者に寄附を募ったという行為には、我が会派としても違和感を覚えるところであります。
  一連の学校への対応については、既に知事のご答弁の中で伺ったところでありますが、もう一方の当事者である保護者の方々への県としての対応については言及がありませんでした。
  そこで、知事に伺います。
  これまでの朝鮮学校への県の対応は承知しているところでありますが、もう一方の当事者である保護者の方々に対しては、この学費補助制度の趣旨を十分に説明すべきと考えますが、県としてどのように対応していくのか、知事のご所見を伺います。
  以上です。


〇知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。
  県政の諸課題についてお尋ねがありました。
  まず、外国人介護人材の養成・確保についてです。
  急速に高齢化が進む本県では、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、約2万5,000人の介護人材不足が見込まれています。また、外国籍県民が多いという本県の特徴もあり、日本人はもとより、介護の職場で働く外国人の養成・確保が課題となっています。
  国は、外国人技能実習制度を見直し、技能実習の対象に新たに介護を追加する制度改正を予定しています。本県では、国の制度改正に先立ち、EPAによる受け入れとは別に、国家戦略特区を活用して介護の仕事につく意欲のある外国人を県内で技能実習生として早期に受け入れ、介護福祉士の資格取得と県内定着への準備を進めたいと考えています。
  技能実習制度では、日本人と同様の処遇や労働環境を確保するため、国の認可を受けた管理団体が受け入れ施設等の指導、監督、支援を行うこととされています。そこで、県は管理団体の役割を果たしていくことで、技能実習が適正に実施されるよう取り組んでいきます。
  また、コミュニケーション能力を確保するため、日常的に使われる日本語を理解できるレベルの外国人を受け入れ、入国後には、職務に十分な程度まで能力アップを図る研修を実施します。
  さらに、介護現場での日常生活の困り事の相談を受ける窓口を設け、外国人に対応できる相談員を配置して就労継続の支援を行います。あわせて、留学生の相互交流や生活相談などを行うかながわ国際ファンクラブへの入会を働きかけ、日本での仲間づくりや悩み事の解消に役立ててもらいます。
  このように取り組むことで、外国人介護人材の養成・確保を進めてまいります。
  最後に、朝鮮学校に通う子どもたちへの学費補助についてお尋ねがありました。
  外国人学校生徒等支援事業は、外国人学校に通う子供たちの教育の機会の確保を目的とした世帯の所得に応じた補助制度です。朝鮮学校に係る平成26年度の学費補助は、保護者からの実績報告書により、確かに学費に充てられたことを確認しています。
  今回、6月13日の報道を受けて、これまで学校に対し、聞き取り調査や文書による照会を行うことにより、事実確認を行ってまいりました。そうしたところ、学校から保護者に対する寄附の協力依頼に当たり、学費補助金は経常費補助にかわる補助金制度であると、間違った表現が使われていたことは甚だ遺憾であり、学校に保護者への責任ある対応を求めたところです。
  これまで、補助金の支給は県から直接保護者の口座に振り込み、学費に充てられたことを確認してきましたが、制度の周知及び説明は全て学校を通じて行ってまいりました。そのため、保護者の側からすると、学校以外に学費補助の制度内容等に関する相談先がわからない状況にありました。
  そこで、県は、学校に対して改めて学費補助制度を正確に説明する文書を保護者へ配付させます。その際には、県の所管課の連絡先も掲載させ、保護者が抱いている学費補助に関する疑問等に県として対応してまいります。
  答弁は以上です。

〇市川よし子議員 それでは、意見、要望を申し上げたいと思います。
  外国人介護人材の養成・確保についてです。
  先ほどのご答弁にあったのですけれども、国の制度の事業の説明の中でも、日本人の働く方の権利を侵害したり、あるいは立場を不安定にするものではないと書かれているのですが、管理団体として、県としても適正にしていくというような趣旨のご答弁がありました。
  決して、先ほど申し上げたような懸念のような状況を招くことがないように、しっかりと進めていただきたいと強く要望させていただきます。
  高齢化社会において、介護人材不足は解決すべき重要な課題であります。そして、今、その解決を目指してさまざまな施策が打たれていることは承知しておりますが、きょうの新聞報道でも、2025年、これは国が示されたのですけれども、全国で38万人もの介護人材が不足になるのではないかと、こういうおそれがあるというような記事もございました。
  国際的に優秀な人材を受け入れることも意義のある施策として、一定の理解はいたしますけれども、まず第一は、国内で担い手となる人材育成を展開していくこと。そして、国内で働いてくださる人々の処遇改善を図っていくこと、こちらのほうがまず優先ではないかと思います。そうしたことを踏まえた上で、こうした施策も展開していただくようにお願いをさせていただきたいと思います。
  そして、先ほどの朝鮮学校の補助金につきましては、保護者の方々へのご対応をされるというご答弁をいただきました。この件に関しては、現在調査中ということでもございますので、引き続き常任委員会での議論を深めていきたいと思います。
  社会の変化とともに、本県が抱える課題も多岐にわたってきました。経済のエンジンを回す、経済という言葉は、中国の古典にある経世済民、世をおさめ民を救うという言葉を語源にしているそうでございます。
  ぜひとも2期目の黒岩知事におかれましては、県民の命を守り、そして暮らしを助ける県政の実現に向けて取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  ありがとうございました。
〔拍 手〕

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