市議会第5回定例会~一般質問
12/15(月)の平成20年度第5回川崎市議会定例会 一般質問にて市川が質問をしました。
<質問1-1 市川>
本市の出資法人改革について、総務局長に伺います。
行革プランにおける出資法人改革の考え方に、キーワードとして”経営改善”という言葉があります。本市と出資法人との随意契約についての問題は既に何度か提起させておりますが、競争性を担保した契約は経営改善の大前提であります。そこで今回1億円以上、市から補助金や委託料を支出している法人をピックアップして、本市としてではなく、その法人が業者と行った契約の内容を調査いたしましたところ、その多くが随意契約や内部選定による指名入札での契約でありました。現在本市では一般競争入札が一般的であり、透明性・競争性が担保されております。透明性・競争性のないところには業者との癒着も懸念されます。この形態をどう考えるか見解を伺います。
<答弁1-1 総務局長>
出資法人における契約につきましても、本市と同様に透明性や競争性が確保されることは大変重要なことでございます。
出資法人におきましても、契約の基準を定めた契約規定等に基づき、本市における契約事務に準じた取り扱いがなされることが望ましいと考えておりますので、より一層、透明性・競争性を高められるよう要請をして参ります。
<質問1-2 市川>
こうした契約内容も含め、出資法人のチェック体制は現状ではどうなっているのか伺います。
また、出資法人の運営内容について、そもそも市はどこまで調査する権限があるのか法的根拠も含め伺います。
<答弁1-2 総務局長>
本市では、行政施策と密接に連携した公共サービスの提供主体の一つとして、出資法人を活用してきたところでございますが、出資法人を取り巻く状況が大きく変化し、厳しいものとなっている中で「出資法人の経営改善指針」に基づき、今後の方向性や行政関与のあり方などの見直しを図って参りました。
また、出資法人に対する調査権限につきましては、地方自治法第199条において、監査委員による監査
権限、第221条において、長の調査権等が付与されており、所管局において調査を実施しているところでございます。
<質問1-3 市川>
法的には調査する権限があるとのことですが、現状を見ると派遣職員やOBの多い所管局によるチェックということで、内輪の人間のチェックで本当に大丈夫なのでしょうか?出資法人改革の中で、例えば大阪府のように委託事業ごと再委託契約の金額や形態までホームページで公開している自治体もありますが、契約の透明性担保のために、こうした取り組みが出来ないか見解を伺います。
<答弁1-3 総務局長>
出資法人に関する情報につきましては、本市の説明責任を向上させるため、この間、開示内容や対象法人の拡大など、透明性を高める取り組みによりまして、広く市民に対しまして、公表してきたところでございます。
ただいま、ご紹介頂きました取り組みにつきましては、透明性を高めるうえで、大変有効な手段の一つであると考えておりますので、他都市の事例を参考に、今後、所管局と協議・検討して参りたいと存じます。
<質問1-4 市川>
今後5年間の間に行う国の公益法人制度改革では、公益目的事業比率50%以上でなければ公益財団法人へ移行出来なくなります。経営の自立を求めてきた今までの行革プランにおける法人改革の考え方が後退するのではないかと懸念されるところでありますが見解を伺います。
例えば公園緑地協会のように、営利事業と公益事業が混在している例が他の法人の事業内容を見ても多く見受けられます。こうした場合は、法人を公益法人と一般法人に分けるのか、それとも公益的部分を残し、営利事業は民間などに譲るような形で切り離すのか、現在のところの見解を伺います。
また、神奈川県は12日までに、公益法人改革で役員の責任が明確化されたことをうけ、事業の執行チェックという本来の目的がそぐわなくなったことを理由に、2009年以降現職職員の役員就任を廃止することを明らかにしましたが、本市の対応はどうなるのか見解を伺います。
<答弁1-4 総務局長>
公益法人制度改革に向けた本市の方針につきましては、新行財政改革プランにおける出資法人改革の一環として「国の公益法人制度改革における移行状況等を踏まえながら、改めて出資法人の存在意義や事業効果を検証し、法人そのもののあり方を見直す」こととしております。
公益法人制度改革の具体的な対応につきましては、公益法人への移行条件等と各法人の今後の役割や事業の方向性とを併せまして、各法人で検討しているところでございます。
また、出資法人への職員やOBの役員就任につきましては、従来より役員数の3分の1以下に削減に取り組んできたところですが、新制度では役員の役割や位置づけも大きく変わりますことから、現職職員の役員就任につきましては、今後、見直していく予定でございます。
<質問1-5 市川>
公益認定されていない法人には補助金を出さない方針を考えている自治体もあると仄聞いたしますが、公益法人制度改革の中での本市の出資法人に関する基本的な考え方を砂田副市長に伺います。
また、どのように移行するにせよ、出資法人改革には経営改善、さらに言えば一人立ちしてもらえるような財務体質の構築が望まれるところであります。しかしながら、各法人の人材を見ますと、未だ市からの出向職員やOBが中心の運営体制になっております。行政のプロではあっても、経営は素人です。経営には行政とはまったく異なる知識や発想が必要であります。先の質問答弁からも、今後制度的に現職職員の出向が難しくなることも想定されます。法人改革には、経営に専門的知識を持つ民間人の登用が絶対に必要と考えますが、同じく砂田副市長に見解を伺います。
<答弁1-5 砂田副市長>
出資法人につきましては、行政需要の多様化、高度化が進展する中、市の施策と密接に連携しながら、効率的・弾力的に公共サービスを提供する運営主体のひとつとして活用を図ってきたところでございます。
公益法人制度改革の中におきましても、新たな制度への移行条件等を踏まえ、新行財政改革プランに基づきまして、法人の役割や事業効果などを検証し、法人そのもののあり方を見直しするとともに、引き続き経営改善等に取り組んでいるところでございます。
出資法人を取り巻く環境が厳しさを増していく状況におきまして、経営改善を図り、法人の安定した経営基盤を確立するには、民間の経営ノウハウを持った人材を活用することが重要であると考えております。
これまでも、法人の監査部門をはじめとして、専門的な知識と経験をお持ちの方に広く参画して頂いているところでございますが、今後もこうした人材活用を積極的に図ってまいりたいと存じます。
<質問2-1 市川>
魅力ある市立高等学校づくりについて教育長に質問します。
時代の変化と共に、市立高等学校に生徒が求める役割もまた変化しております。どのように変化してきたか、市立川崎高校を例にとり、10年前と今を比較し卒業生の進路先の変化を伺います。
本市にはまた商業高校と、かつての工業高校、現在の総合科学高校という2つの専門高校があります。ひと昔前まで、こうした実業高校は、就職のための高校というイメージがありましたが、こちらも大きく変化しています。商業及び総合科学高校の卒業生における就職率と4年制大学進学率をやはり10年前と今を比較して伺います。
<答弁2-1 教育長>
はじめに、川崎高校では、平成9年度と平成19年度の卒業生で比較した場合、就職者が86名から68名、4年制大学進学者が0名から64名、短大・専門学校等進学者が49名から74名、その他が75名から19名となっております。
同じく、商業高校では、就職率が59.2%から53.4%、4年制大学進学率が2.9%から13.2%となっており、総合科学高校工業科では、就職率が46.2%から24.5%、4年制大学進学率が8.4%から43.4%となっております。
<質問2-2 市川>
今の数字から、時代の変化と共に市立の普通高校も専門高校も、進学を希望される生徒が増えていることが分かりました。ところが、一方で、進学を希望しても予備校や塾に通わなければなかなか合格することが出来ない、親の所得格差がそのまま子の学力格差につながる、といった指摘があるのも事実です。面白い調査があるのですが、最難関校といわれる東京大学、東大の学生の保護者の平均年収がいくらか、教育長はご存知ですか?
<答弁2-2 教育長>
東京大学が実施した「学生生活実態調査」に基づく各種報道によれば、1000万円程度となっております。
<質問2-3 市川>
2002年度の調査によると、1016万円、平均年収の2倍近くの高所得であります。こうした調査結果を見ると、やはり学力と経済力には相関性があるのかと感じるところですが、実は塾に行かず学校での勉強のみで、この東大をはじめ難関校といわれる大学に合格者を出している高校がこの川崎にあるのです。それもなんと市立高校の話であると聞いて、正直私も驚きました。その高校とは私の地元幸区にあります、かつて「土手校」の愛称で親しまれ、先ほど食堂の話題があがりました、総合科学高校であります。
総合科学高校の特に科学科では、「学びあう、教えあう、助け合う」を合言葉に、3年間同一クラスで、クラスメイトの友情を深めながら、科学科独自のシステムで学習していると伺っています。独自のシステムの中には週3回の朝ゼミというわれる学習、夏休み春休みの集中授業、夏期合宿、自習室の早朝放課後開放などがあり、熱意のある先生方が生徒の指導にあたっています。その結果、東京大学をはじめ東京工業大や一橋大学などの国立校、早稲田慶応などの私大にコンスタントに合格者を出すようになってきました。それ以上に素晴らしいのは、ただ大学に合格するのが目的ではなく、生徒の向学心がその後も続いていることです。卒業生の中には東京都立大学を首席で卒業した学生もいて、目標はあくまで社会への貢献であるという科学科の指導をしっかりと実践し、活躍しています。
まことに素晴らしい取り組みと成果に、心から現場の情熱ある先生たちに敬意を表したいと思います。
今後ますます経済状況の悪化が懸念されております。経済的に苦しくても公立高校で本人さえ頑張れば最難関校合格も夢ではないということは、多くの生徒や保護者に明るい希望を与えると思います。今回の取り組みを見て一つ大きく感じたのが、生徒がやらされているのではなく、自らの意欲で勉強に向かっているということであります。
こうした向学心に燃えた生徒達に応えるのも公立高校の役割と考えますが、他の高校でもこうしたニーズが生徒から出てきた場合、総合科学高校のような取り組みえを検討出来ないか伺います。
<答弁2-3 教育長>
高校進学率の増加や急激な社会変化に伴い、高校進学希望者の学力や適正、興味・関心、進路希望などは極めて多様化しております。
本市におきましては、多様なニーズに対応するため、全日制課程においては福祉科、スポーツ科など14学科、定時制課程においては5学科を設置しております。
さらに、各市立高校では、魅力ある高校づくりの一環として、各学科の特性を生かし、生徒の学力や適正、興味・関心、進路希望などに応じた教育課程編成や指導体制づくりを行ってまいりました。
総合科学高校科学科における取組みも、このような方向性に沿ったものと認識しておりますので、今後も各市立高校・各学科において、生徒の実態やニーズに即した取組みが行えるよう、一層支援して参りたいと考えております。
<質問2-4 市川>
今の答弁に多様なニーズとありましたが、まさしく公立高校に求められるニーズは、進学への支援ばかりではありません。当然社会に出て働きたいという生徒のニーズもあるわけです。定職につけないフリーターがワーキングプアとして社会問題になっておりますが、社会人として独り立ちできるスキルを高校時代に作り上げるというのも、公立高校の重大な使命であります。そこで、俗に手に職といいますが、資格の取得は就職に際して、またその後の人生においても大きなアドバンテージとなります。今、市立高校で取得できる公的資格にはどういうものがあるのか伺います。
<答弁2-4 教育長>
各高校・各学科におきましては、資格取得にむけて、教育課程への位置づけや放課後の講習会開催など、生徒の意欲やニーズに応えた教育活動を展開しております。
在学中に受験し、取得した資格といたしましては、国家資格として、基本情報技術者、ソフトウェア開発時術者、電気工事士、工事担任者総合種、電気工事施工管理技士、第3種電気主任技術者、2級ボイラー技士などがございます。なお、介護福祉士につきましては、川崎高校福祉科の教育課程に位置づけられ、3年生全員が受験し、全国平均を大幅に上回る合格率となっております。
公的資格では、実用英語検定2級、訪問介護員(ホームヘルパー)2級、カラーコーディネーター2級、秘書検定2級、などがございます。
また、全商簿記実務検定・情報技術検定など、全国商業高等学校協会や全国工業高等学校長協会が実施する各種検定を、数多く取得しているところでございます。
<質問2-5 市川>
今伺う資格でありますが、就職の現場を見ると、例えば簿記においては高校で取得する全商簿記ではなく、日商の簿記資格を求める企業がほとんどであったり、せっかく取得しても必ずしも有利に働かない資格も多いのではないかと指摘せざるを得ません。使える資格といえば、今年、中高一貫校として開校した大阪市立「咲くやこの花高校」の食物文化科では、国家資格である調理師免許を取得することが出来ます。本来なら専門学校などで取得する資格を高校で取得できれば、経済的に苦しい家庭の子弟でも国家資格を取得するチャンスが広がります。同様の生活科学科をもつ市立川崎高校も今後、中高一貫校として整備される計画がありますが、こうした調理師資格を取得できるような体制が検討できないか伺います。また就職の実態に即した公的資格の取得に関して今後の取り組みの可能性についても伺います。
<答弁2-5 教育長>
資格には、国からの職業的な地位が保障され、社会的な信用度も高い国家資格や、民間団体の主催によるもので、信用度や知名度の高い公的資格がございますが、今後、生徒の適正や進路希望に応じて、これらの資格取得を支援する教育活動を各校で検討し、生徒の就職やキャリアアップに資するよう配慮して参りたいと考えております。
調理師の資格取得対応につきましては、中学校生徒保護者など市民ニーズや開設に係る諸課題について、今後研究して参りたいと考えております。
<質問2-6 市川>
最後に健康福祉局長に伺います。
今回市立高校卒業生の進路先を調べ、なんと市立高校が市立看護短期大学の推薦の指定校になっていないことがわかりました。同じ川崎市の教育機関にこうした関係がないことは、やはりおかしいと指摘せざるを得ませんが、市立高校指定枠の検討が出来ないか伺います。
<答弁2-6 健康福祉局長>
現在、神奈川県及び東京都の高等学校等を対象に学業・人物ともに優秀で、高等学校または中等教育学校の校長が、責任を持って推薦する学生を小論文試験、面接試験ならびに書類審査等により総合的に選抜し、ひとりでも多くの、将来の看護師を育成するため、推薦入学制度を採用しているところでございます。
川崎市立高等学校からの推薦を受け、最近5年間で、14名の合格者が出ておりますが、指定校制につきましては、指定枠や学生の適正など、そのあり方について検討して参りたいと考えております。