令和3年9月15日:第3回定例会 本会議 代表質問のご報告②【人権を守る実効性のある取組について】

代表質問報告②
人権を守る実効性のある取り組みについて
SNSの普及により、人権侵害は特定の問題ではなく、誰もにおこりうる問題となりました。
質問でも申し上げましたが、ある日突然、理不尽な差別や中傷にさらされ、人権を侵害されることが誰にもおこりうる社会になってしまったということを再認識する必要があると思います。
理念を掲げるだけでは、人は救えません。川崎市にある人権オンブズパーソン制度などを例にあげ、第三者による独立機関の設置などを含め、実効性ある取り組みを提言しました。

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令和3年9月15日、県議会定例会にて行った代表質問の内容と答弁要旨を掲載致します。

【令和3年10月1日(金)テレビ神奈川(tvk)にて市川よし子の代表質問が放送されます!】

2 その先の神奈川へ向けた取組について

(1) 人権を守る実効性のある取組について

≪質問≫

「人権を守る実効性のある取組について」です。

コロナ禍を受け、虐待やDVなど、子どもや女性の人権侵害が増加しています。また昨今では、ヘイトスピーチやネットでの誹謗中傷、LGBTなど人権侵害も多様化、深刻化しており、今後はコロナ感染やワクチン接種をめぐる差別など新たな問題も懸念されるところであります。
ひるがえって本県に目を向けると、津久井やまゆり園事件という県立施設での未曽有のヘイトクライムを受け、「ともに生きる社会かながわ憲章」を制定し、その理念の周知・普及につとめていると承知していますが、平成28年の制定から5年、その理念が県民に浸透しているかといえば疑問であります。知事もパラリンピック閉幕後の記者会見で「共生社会は全然実現できていない」と発言されましたが、実状はそうであると認識せざるをえないと考えます。
子どもの人権については、5月に国会にわが党として「子ども総合基本法」を提案しましたが、その中でもイギリスのコミッショナー制度やノルウェーの子どもオンブットのような、子どもの権利利益を擁護する独立機関の設置を大きな柱に盛り込んでいます。
また県内自治体では、私の地元川崎市で、全国に先駆け平成14年から運用を開始した「川崎市人権オンブズパーソン制度」という、子どもと男女平等ジェンダーに関する人権に特化した相談・救済活動を目的とする第三者機関が設置されております。単なる理念を掲げるだけではなく、実際に監視や救済を行う独立機関の設置は、実効性の面からも検討の余地あるものと考えるところです。
本県は、常に人権の先進県として全国をリードしてきたと承知しています。その中で、今回組織再編を行い「共生推進本部」を立ち上げたわけですが、「人権男女共同参画」が課の名前としてはなくなるなど、単なる組織の合理化ではないか?と、本県の人権施策の後退を懸念する声があるのも事実であり、実際ヘイトスピーチ条例についても先の定例会で後退ともとれる方針が示されたこともあり、率直に不安をおぼえるところであります。
また、今後デジタル社会が進む中で、その恩恵の一方で、期せずして私たちの誰もが、ある日突然、理不尽な差別や中傷にさらされ、人権が脅かされることが起こりうる、ということも改めて認識する必要があると考えます。

そこで知事に伺います。
コロナ禍を受け、より多様化、深刻化する人権侵害について、県民の人権を守るためどのような決意をもって対処していくのか、また、単に理念を掲げるだけではなく、独立機関の設置の検討など先駆的な取組を含め、実効性ある取り組みを推進すべきと考えますがご所見を伺います。

≪知事答弁≫

その先の神奈川へ向けた取組についてお尋ねがありました。
まず、人権を守る実効性のある取組についてです。
人権は、すべての人が生まれながらに持っている権利であり、決して侵すことは許されません。
県では、様々な人権課題に対して、対象者や分野ごとに取組を進めており、その中で、実効性のある取組とするため、当事者に対し専門家による支援を実施しています。
例えば、子どもの分野では、弁護士などの専門員チームが、子どもの代弁者として、児童養護施設等に入所している子どもから直接意見を聴取し、意見表明を支援する取組などを実施しています。
また、女性のDV被害者に対しては、弁護士や精神科医師などの専門相談窓口を設置し、相談者のニーズに応じたきめ細かい支援を実施しています。
一方、今日、性的マイノリティの方々の人権課題や、ヘイトスピーチの問題など、新たな人権課題が顕在化しているとともに、コロナ禍においては、子どもや女性など社会的に脆弱な立場にある方々の人権課題がより深刻になっている状況です。
人権は、人間が幸福な人生を送るためには、欠くことのできない基本的な権利であることから、県では、人権尊重の社会を目指し、多様化、深刻化する人権課題にしっかりと取り組んでいきます。
そこで、社会情勢の変化を受け止めて、様々な人権課題に対応するため、現在「かながわ人権施策推進指針」の改定作業を進めています。
改定指針においては、新たな人権課題も含めて、人権侵害の解消に資する当事者支援の充実・強化についてしっかりと位置づけ、実効性のある取組を着実に進めてまいります。
一方、人権課題に的確に対応するため、行政の監視や当事者の救済を目的とした第三者機関の設置など、新たな方策について、国においても議論がなされています。
例えば、子どもの分野においては、児童相談所の活動などを、子どもの権利擁護の観点から監視する機関の設置について検討が進められています。
子ども以外の分野においても、第三者機関の設置を行っている自治体もありますので、国の動向や他の自治体の状況なども捉えながら、実効性のある先駆的な取組について、研究していきます。
今後も、県では、人権が全ての人に保障される地域社会の実現に向け、着実に取り組んでまいります。

≪再質問≫

人権を守る実効性のある取組について再質問させていただきます。
ご答弁では独立機関の研究など、おっしゃっていただいて大変感謝したいと思うのですけれども、やはり理念では人は救えません。
今まさに改定している人権指針、これは5年前に改定していて、また一回改定すると今度また改定できなくなります。
今、実効性のある取組、しっかりと位置付けたいという知事からのご答弁ありました。でしたら、知事のその覚悟があるのでしたら、ぜひこれを人権指針に、その部分を明記していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

≪知事答弁≫

それでは再質問にお答えいたします。
人権指針の改定に当たっては、今後、議会の場、それからパブリック・コメント、かながわ人権政策推進懇話会などにおいてご意見を伺い、より良い指針となるよう見直し作業を進めてまいります。
今回いただきました御提言につきましても、今後、そうした場において議論をいただきながら、具体的にどのように指針に反映できるか、検討を進めてまいります。

≪要望≫

人権につきましてのご答弁いただきました。本当に今回の人権、特にSNSなどの影響でですね、誰もが人権侵害起こり得ることになりました。理念では助けられない。やっぱりしっかり助けてあげるのは私たちの責務だと思います。ぜひしっかりと指針にも盛り込んでいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

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