令和4年12月7日:令和4年第3回定例会本会議一般質問のご報告

令和4年12月7日令和4年第3回定例会本会議にて市川よし子が一般質問で登壇しました。以下、質問と答弁内容になります。

令和4年第3回定例会本会議一般質問 12月7日(水)
【質問内容】
1 子どもの権利に関する条例について
2 指定管理者選定に係る運用の見直しについて
3 カーボンニュートラルに向けた県の取組について
(1) カーボンニュートラル実現に資する企業の誘致について
(2) 県有施設におけるZEB・ZEHの推進及び公用車の取組について
4 子宮頸がん検診について
5 県立高校における不登校を含む長期欠席生徒への支援について
6 コロナ第8波に向けた県の取組について
7 神奈川県職員等不祥事防止対策協議会について

 

 

1 子どもの権利に関する条例について

今年の6月15日に「こども基本法」が可決成立しました。「こども基本法」は、「日本国憲法」と「児童の権利に関する条約」、これは「子どもの権利条約」とも言われますが、その精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指すとしており、「子どもの権利」が高らかに謳われています。

全国に先駆けて「子どもの権利条例」を制定した川崎市出身者として、感慨深いものがあります。

スクリーン資料_市川(よ)議員
「子どもの権利条約」は、今から33年前の1989年に国連総会で採択され、日本は、その5年後の1994年にこの条約を批准しております。
この条約の採択以降、世界では、子どもの死亡率が低下し、危険な労働を強いられる子どもが減少する一方で、我が国はどうかといえば、2020年のユニセフの報告書によると、日本の子どもの「精神的幸福度」は、先進国38か国中37位で、生活に満足していると答えた子どもの割合の低さと、自殺率の高さが原因とされています。この結果を厳粛に受け止め、子どもが健やかに成長し、幸福な生活を送るためには何が必要なのかということを、今一度、我々大人が子どもたちと一緒に考えていく必要があるのでないでしょうか。
県は、「神奈川県子ども・子育て支援推進条例」で、子ども子育て支援の基本理念を定め、「かながわ子どもみらいプラン」により子ども子育て支援を推進しています。
県の条例もプランも、それぞれ「子どもの権利条約」を踏まえていることは承知していますが、県内では、川崎市が2000年に、相模原市が2015年に「子どもの権利条例」を制定し、直近では今年3月に、横須賀市が「子どもの権利を守る条例」を制定しました。

国が、「こどもまんなか社会」の実現に向け、「こども家庭庁」設置など大きく動き出した今、本県においても、県として、「子どもの権利」の保障を、条例等でしっかりと謳っていくことが、子どもたちの幸福を支えるためには必要であると考えます。

そこで、知事に伺います。
今般の、国の大きな動きを受け、本県では「子どもの権利」をどのように保障していこうと考えているのか、「子どもの権利に関する条例」の制定も含めて、知事の御所見を伺います。

知事答弁

はじめに、子どもの権利に関する条例についてお尋ねがありました。
次世代を担う全ての子どもが、個人として尊重され、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会を実現することは、大変重要です。
県では、あらゆる施策に「当事者目線」を大切にしながら取り組んでおり、子ども施策の推進にあたっても、「子ども目線」で、権利を保障していくことが必要です。
平成19年に制定した「子ども・子育て支援推進条例」は、「児童の権利に関する条約」いわゆる「子どもの権利条約」を踏まえ、子どもの人権を尊重することや、子どもが権利の主体であることを規定しています。
また、この考え方を基本に「かながわ子どもみらいプラン」を策定して、これまで様々な施策を展開してきました。
令和5年4月に施行される「こども基本法」は、「子どもの権利条約」の理念をさらに推進させるために、子どもが「意見を表明する機会」や「多様な社会的活動に参画する機会」の確保などを、新たに盛り込んでおり、これをどのように保障していくかが課題です。
現在、国も、子どもの意見表明などの手法を研究している段階であり、国の状況も注視しながら、県は、子どもたちから直接御意見をいただき、子ども目線で、しっかり議論、検討していきたいと考えています。
こうした取組を確実に実行していくために、議員から、「子どもの権利に関する条例」の制定というお話しがありましたが、現行の「子ども・子育て支援推進条例」への反映や、規則、計画、宣言など、様々な方法を総合的に検討していきます。
県は、徹底した「子ども目線」で、子どもの権利保障に取り組み、全ての子どもが幸福で健やかに成長できる社会の実現に努めてまいります。

市川よし子要望

子どもの権利に関する条例についてです。
子どもの権利への思いの方向は一緒であると答弁で確信いたしました。特に今後議論していかねばならないのは、子どもの権利条約12条でうたわれている子どもの権利表明権になると思います。子どもの権利を尊重し、擁護していくためにも、ぜひ条例の検討を要望します。

2 指定管理者選定に係る運用の見直しについて

県では、指定管理者制度を運用する際の具体的な基準及び手続きを明確化した「指定管理者制度の運用に関する指針」を定めています。
指定管理者には県と同様の高い法令遵守意識が求められることから、私は平成26年第3回定例会において、この指針にコンプライアンスの視点を盛り込むべきと質問し、「団体の業務遂行能力」の評価項目に、「事故・不祥事への対応」や「コンプライアンスへの取組」という項目が設けられたことは大いに評価しているところです。
指定管理施設の所管課は、この「指針」に基づき、応募団体の資格審査や、過去3年間の重大な事故又は不祥事の有無と再発防止策等を確認したうえで、有識者等で構成される外部評価委員会が評価を行うという手順になっているものと承知しています。
さて、先般、葉山港の指定管理者の選定において、応募団体が過去3年以内に受けた行政処分について、「重大な事故」には該当しないという理由から、外部評価委員会において評価されることなく、指定管理者候補とされ、議会の議決を受けた事案がありました。
私が、9月の建設企業常任委員会においてこのことを取り上げ、状況を確認したところ、所管課からは、申請の時点で、既に処分事由について原状回復し、必要な許可等の手続きも行われ、適正な状況になっており、「重大な事故又は不祥事」や「コンプライアンス」には該当しないため、外部評価委員会の評価には含まれていないとの答弁がありました。
指定管理者の選定に当たっては、地元の市町村や住民をはじめ、全ての利用者が安心して施設を利用できるようにすることが大切であり、そのためには、指定管理者には、公の施設を管理する者としてふさわしい業務遂行能力が求められていることは言うまでもありません。
今回の事案については、現在のルールに反するものとは言えなかったものの、過去に受けた行政処分が「重大な事故」等に当たるかどうかを判断するにあたり、応募団体や所管課の主観に左右されると捉えられかねない点があることについては、今後に向け、改善の余地があると私は考えます。
また、運用を見直すならば、改正内容を明確にするためにも、指針の中にはっきりと明記すべきと考えます。
そこで、知事に伺います。
今後、過去に受けた行政処分については、県としてできる限り把握するよう努め、外部評価委員会の評価の対象とするべきと考えますが、知事の御所見を伺います。

知事答弁

次に、指定管理者選定に係る運用の見直しについてお尋ねがありました。
県では、指定管理者候補の選定にあたり「指定管理者制度の運用に関する指針」に基づいて、「サービスの向上」、「管理経費の節減等」、「団体の業務遂行能力」の大きく3つの項目を設け、有識者等で構成される外部評価委員会が評価する仕組みとしています。
このうち、「団体の業務遂行能力」の項目では、応募団体の信頼性を評価するため、過去3年間の重大な事故と併せて、事後対応や再発防止策を確認しています。
葉山港の指定管理者の選定にあたり、応募団体の過去の行政処分については、市の指導に従い、違法状態が是正され、過怠金も納付済みであるため、重大な事故には当たらず、外部評価委員会の評価の対象とはしていませんでした。
しかし、議会からは、「応募団体が過去に行政処分を受けているのであれば、外部評価委員会の評価の対象とすべき」との御指摘をいただきました。
指定管理者は、県に代わって、公の施設を管理することになりますので、より透明性の高い選定プロセスとすることが住民からの信頼確保に繋がります。
そこで、今後の選定にあたっては、応募団体が過去3年間に法令違反により行政処分を受けた事実があれば、全て外部評価委員会に報告する扱いとします。
その上で、行政処分の内容とともに、その案件にかかる事後の対応を評価の対象とし、指定管理者としての適格性を評価する方法に見直したいと考えています。
この新たな運用については、今後、議会に報告した上で、「指定管理者制度の運用に関する指針」を改正するとともに、応募団体が見落とすことがないよう提出書類の様式も改正し、該当する行政処分を漏れなく把握できるようにしていきたいと考えています。

 

3 カーボンニュートラルに向けた県の取組について

(1)カーボンニュートラル実現に資する企業の誘致について

県では、これまで高い技術力を持つ中小企業から、グローバルに事業を展開する大企業まで、様々な企業を誘致し、県内経済への波及効果を実現してきたと承知しています。
企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」では、「未病関連産業」や「先端医療関連産業」、「観光関連産業」等を今後成長が期待される産業として位置付け、県内への産業集積を図っておりますが、コロナ禍において、様々な産業が打撃を受け、経済の停滞が危惧されたところはご承知の通りであります。想定外の新型コロナウィルス感染症の感染拡大とはいえ、改めて、企業誘致の業種選定の難しさについても、また認識させられたことも事実です。
その一方で、「半導体関連」など一部の産業では投資が活況を呈しており、本県もこうした経済や時代の流れを掴みながら、企業誘致を進めることが必要であり、今後、成長が期待される分野として、「カーボンニュートラルの実現」に向けた環境に関する世界的な流れは注目に値すると考えます。

先月(11月18日)、私の地元川崎市で行われた「川崎国際環境技術展」を視察したところ、エネルギーや資源リサイクルなど、様々な環境分野における市場の創出に向け、事業を展開する企業が出展していました。

スクリーン資料_市川(よ)議員

 

特にペットボトルのケミカルリサイクルなど世界的にも先端をいく、メディアなどでも取り上げられた企業などの出展もあり、この分野での将来性に大きな期待を感じることができた視察となりました。先般報道もありましたが、今後、再整備の検討が本格化する川崎臨海部での展開などにもこの分野の産業の進出が想定されています。

スクリーン資料_市川(よ)議員

脱炭素社会を実現するためには、行政がロードマップを示しながら官民一体で取り組むことが重要であり、計画を立てるだけではなく、これに関連した企業の事業活動を活性化することで、その達成が近づくものと考えます。
これまで県は、EVの普及にいち早く取り組むとともに、自家消費型太陽光発電の導入支援など、再生可能エネルギー等の導入加速化を図ってきました。また、省エネルギー対策の取組も着実に進めてきたことは承知しています。
しかし、カーボンニュートラルの実現という極めて高い目標を達成するためには、この脱炭素という新たな成長分野に焦点を当て、脱炭素化に資する企業を積極的に県内に誘致していくことを検討すべきではないでしょうか。更に、これらの企業は、SDGsともリンクするので、ESG投資などの資金調達面でも期待が持てるのではないかとも考えます。

そこで、知事に伺います。
今後の企業誘致施策について、世界的な潮流や企業の動向等を踏まえ、新たな成長産業として、脱炭素化の視点を含めた検討を行うべきと考えますが、知事の御所見を伺います。

知事答弁

次に、カーボンニュートラルに向けた県の取組についてお尋ねがありました。
まず、カーボンニュートラル実現に資する企業の誘致についてです。
県では、県内経済の活性化と雇用の創出を図ることを目的として、企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」により、国内外から成長産業等の企業誘致に取り組んでいます。
国は、昨年、脱炭素社会の実現に向けて、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、水素や半導体など、今後の成長が期待される14の分野を掲げています。
これらの分野は、投資家から資金調達しやすく、事業所の新設など設備投資の活発化が見込まれるとともに、成長産業として、経済の活性化と雇用の創出が期待できます。
これまで「セレクト神奈川NEXT」では、エネルギー関連産業を成長産業として位置付け、バイオマス発電所など、脱炭素化に資する企業を誘致してきました。
しかし、例えば、燃料アンモニアによる発電などは、国のグリーン成長戦略において、成長産業に位置付けられていますが、「セレクト神奈川NEXT」では、そうなっていないため、誘致対象となっていません。
そこで、これまでの取組の効果検証と合わせて、国のグリーン成長戦略に位置付けられている成長産業を、県の誘致対象とすることについて、検討したいと考えています。
こうした企業誘致の戦略を通じ、経済の活性化や雇用の創出とともに、脱炭素社会の実現が図られるよう、しっかりと取り組んでまいります。

(2)県有施設におけるZEB・ZEHの推進及び公用車の取組について

国の目標である、2050年カーボンニュートラル実現に向け、今後その流れも加速していくことと考えます。
カーボンニュートラル実現の為には、様々な観点からの取組みが必要ですが、この先の神奈川の為には、「省エネ」と「創エネ」によりエネルギー消費量の収支をゼロにするZEB・ZEHの普及、そして自動車の電動車化の2つはもっとも重要な取り組みになるのではないかと私は考えます。
ZEB・ZEHについて、私は令和元年第2回定例会一般質問において、それまで実績のなかった県有施設へのZEB導入について質問し、知事より、今後検討するという前向きな答弁をいただきました。

その後、本県としては初のZEB施設となる神奈川県立産業技術短期大学校西キャンパスが建設され、今月内には完成予定であることは大いに評価するところであります。

スクリーン資料_市川(よ)議員

県内のZEB・ZEHの導入実績の推移を見ると、平成29年度 ZEB 6件、 ZEH1,559件、であったものが令和2年度にはZEB 34件、ZEH12,130件、と、着実に進んではいるものの、まだまだ十分とは言えず、政策誘導として県有施設でのZEB・ZEH導入のさらなる取り組みが重要になると考えます。

スクリーン資料_市川(よ)議員

また、自動車の電動車化の取組についても本県は全国の自治体に先駆け平成18年度から電気自動車の普及に取り組んできたことは承知していますが、令和3年の軽自動車を除く新車乗用車販売の電動車割合は42.7%でいまや全国40位であり、現在県が掲げる2030年度新車乗用車全電動車化の目標を考えると更なる普及が求められるのは言うまでもありません。
この分野でもまずは県として公用車の積極的な電動車化への取り組みを進め、目標達成に向け加速する努力が求められると考えます。
しかし、県の公用車における電動車の導入実績では、令和3年度末現在で電動車は計35台と、全公用車に対する割合は約10%に留まり、道半ばであることは否めません。

そこで知事に伺います。
県としてカーボンニュートラルの実現に向け、県有施設の整備におけるZEB・ZEHの導入や公用車の電動車化についてより積極的に取り組むべきと考えますが、県有施設のZEB・ZEH化に今後どのように取り組んでいくのか、また、公用車についても電動車の導入をどのように図っていくのか、併せて知事の御所見を伺います。

知事答弁

次に、県有施設におけるZEB・ZEHの推進及び公用車の取組についてです。
脱炭素社会の実現に向けては、国や自治体、企業、県民の皆様など、あらゆる主体がオールジャパン、オール神奈川で取組を拡げていくことが重要です。
そのためには、まず県自らが率先して、脱炭素化に向けた取組を加速させ、市町村や企業等に姿勢を示す必要があると考えています。
そこで、まず県有施設のZEB・ZEH化についてです。県は、令和4年3月に改訂した「神奈川県公共施設等総合管理計画」に基づき、今後建て替える県有施設については全て、省エネと創エネを組み合わせて脱炭素化することを基本としています。
具体的には、出先の庁舎や学校等では、今月完成予定の産業技術短期大学校西キャンパスでZEBを導入しており、さらに、今後建替えを計画している高相合同庁舎や計量検定所などでも、順次、導入していきます。また、県営住宅においても、今年度設計に着手した、千丸台団地や鶴巻団地、寒川新橋団地などで、ZEHを導入していきます。
次に、公用車の取組についてです。県では、業務に必要な仕様を備えた車種がない場合を除いて全て電動車化することとし、今年度導入する12台を含め、2030年度までに、県が保有する乗用車・小型貨物自動車約360台を電動車化します。
電動車化は、配備先での業務や地域の特性等を勘案し、まずは走行時に温室効果ガスを排出しないEVや燃料電池自動車を優先し、これに次いで排出が少ないハイブリッド車などを導入する形で進めます。
県としては、脱炭素社会の実現に向けて、県内の機運を醸成するためにも、これまで以上に率先して脱炭素化に取り組んでまいります。

市川よし子再質問

公用車の電動車化を進めるならば、当然その充電施設も必要になる。早急に県有施設での設置を検討すべきと考えるがいかがか。

知事答弁

公用車の電動車化を進めるにあたっての、充電施設の設置についてのお尋ねでありました。公用車の電動車化にあたっては、車両の更新だけではなく、御指摘のように充電施設も必要であります。
充電施設につきましては、公用車のEVへの更新と合わせて、公用車が配備されている場所に計画的に設置していきたい、そのように考えております。

市川よし子要望

続きまして、県有施設におけるZEB・ZEH、そして公用車についてですけれども、今後、全ての建物、県有施設、こうしたZEB・ZEHを導入していくという御答弁でございました。これからの世界の変化に向けた大きな判断と評価させていただきたいですけれども、ぜひZEB・ZEH化、そして公用車についても、充電施設がなければ動きませんので、そちらの導入も併せて加速を求めておきたいと思います。

4 子宮頸がん検診について

本県のがんの罹患者数は男女とも増加を続けており、平成30年には年間で約7万人の方ががんに罹患しています。

女性のがん患者も増えてきていますが、中でも子宮がんは増加しています。県内の子宮がんの罹患者数は、人口10万人に対して、平成13年が17.7人、平成28年は46.4人と倍以上に増えています。
また、子宮がんの中でも、子宮体がんの罹患者数は50代がピークですが、子宮頸がんは30代から40代と若い年齢でピークとなります。

スクリーン資料_市川(よ)議員

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス、HPVへの感染が大きな要因とされています。
国では、HPVワクチン接種後に健康被害を訴える方が相次いだことから、定期接種を一時中止していましたが、今年の4月から接種の積極的勧奨を再開したところであります。
HPVワクチンについては、いまだ副作用に悩まされている方もおり、県は効果とリスクの両面から正確な情報を発信し、HPVワクチンの接種対象の皆さんが接種について、検討できるようにしなくてはなりません。
一方で、ワクチンを積極勧奨していなかった世代については、HPVへの感染リスクも懸念されており、子宮頸がんを早期に発見できるよう、県として、子宮頸がんの検診受診率の向上に取り組んでいかなくてはなりません。
東京都調布市では今年度、23歳と24歳の女性を対象に、無料でHPVのセルフチェックができる検査キットを配布する事業を行いました。

また、埼玉県志木市では、市が実施する子宮頸がん検診を受けていない方を対象にHPVセルフチェックキットの無料配布事業とともに、アンケートを行ったところ、

受診しない理由として、「スケジュールが合わない」「時間が無い」「平日の遅い時間や土日に受けられない」と言った理由が上位に上げられました。仕事や子育てに追われ、検診に時間が割けられない女性の実態が見える結果と考えます。

スクリーン資料_市川(よ)議員
この事業の目的は、子宮頸がん検診を受診しない方が、セルフチェックをすることで、子宮頸がんについて意識を高め、その後に市が実施するがん検診受診につなげることにあると考えられます。
志木市の取り組みは、約2,000人を対象に行われ、その後、結果的に約80人が市の実施する子宮頸がん検診を受診したという成果があったとのことです。

スクリーン資料_市川(よ)議員

県のがん対策推進計画では、がん検診受診率50%を目標として掲げていますが、令和元年度の県内の子宮頸がん検診受診率は47.4%と目標値に達していない中、こうした自主検査キットなどを活用し、がん検診につなげるきっかけ作りは有効ではないかと考えます。

そこで、知事に伺います。
今後、子宮頸がん検診の受診率向上に向けて、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見を伺います。

知事答弁

最後に、子宮頸がん検診についてお尋ねがありました。
全国統計によれば、子宮頸がんの5年生存率は、早期がんで93%、進行がんでは30%となっており、がん検診による早期発見が非常に重要です。
これまでも、本県では、子宮頸がんの検診受診率向上のため、ホームページで受診を推奨するほか、民間企業と協定を締結し、様々な取り組みを行っています。
例えば、生命保険会社の営業活動の際に、県が作成したリーフレットを活用し、がん検診の普及啓発を行っていただいています。
こうしたことにより、本県の子宮頸がん検診受診率は、令和元年度が47.4%で、全国平均の43.7%より高く、平成22年度の37.9%よりも上昇しています。
しかし、子宮頸がん検診受診率は県計画の目標値である50%には達していません。
議員ご提案の自主検査キットは、子宮頸がん自体を発見するものではなく、その主な原因であるHPV感染の有無を検査するものです。
この自主検査をきっかけとして、がん検診を受診する方は、確かにいるかもしれません。
しかし、自主検査では、検体を正確に採取できない可能性があり、偽陰性となった方の、子宮頸がんが見落とされる危険性があるため、国立がん研究センターは、検査としては推奨しないとしています。
そこで、この自主検査への対応については、引き続き、国の動向を注視していきます。
なお、子宮頸がん検診受診率向上のため、子宮頸がんをテーマにしたシンポジウムや、新たな「子宮頸がん検診啓発動画」の作成、ライトアップイベントなども行っていきます。
県は、今後とも、様々な取り組みを行うことにより、子宮頸がん検診受診率の向上を図ってまいります。
私からの答弁は以上です。

 

5 県立高校における不登校を含む長期欠席生徒への支援について

先月に公表された「令和3年度神奈川県児童・生徒の問題行動・不登校等調査」の結果では、不登校児童・生徒数が増加傾向を示しています。その要因の一つとして、新型コロナウイルス感染症の流行があり、日常生活や学校生活における様々な制約が、児童・生徒に少なからず影響を与えているのではないかと危惧しております。

特に、この調査結果において、私は、公立高等学校生徒の病気による長期欠席者数が1,733人となり、前年と比べて323人も増加している点に注目しています。コロナ禍の様々な影響により、心に不調をきたした生徒が増え、その結果、病気による長期欠席者全体が増加しているということも考えられるのではないでしょうか。

スクリーン資料_市川(よ)議員

スクリーン資料_市川(よ)議員

学校を長期に欠席することで学習に遅れが生じることは、その後の不登校傾向に繋がっていく恐れがあり、そうした事態を招かないためには、長期欠席の生徒への学習支援の取組が欠かせないものと考えます。
県立高校では、コロナ禍における、臨時休業等を機に、各学校のオンライン学習の活用が進み、様々な理由により学校を長期欠席している生徒への学習支援に取り組んでいると承知しています。今後は、こうした学習支援にさらに積極的に取り組む必要があり、生徒が不安なく学校に復帰できるよう、各校において、こうしたオンラインによる学習を単位認定に繋げることができないかと考えています。

また、先日、神奈川県私立中学高等学校協会が運営している「神奈川私学修学支援センター」を視察してきました。私立中高協会では、不登校等で長期欠席となっている生徒に対し、「私学会館」内に設置している「修学支援センター」への通所により、学校への復帰に向けた学習支援に取り組んでいます。

スクリーン資料_市川(よ)議員

退職された校長や教頭経験者の指導のもとで、時間割をもとに、当該生徒の学校の教科書を使ったマンツーマンの個別指導で学習等に取り組むことにより、学校復帰に向けた支援をしています。お話を伺ってきましたが、生徒の心に寄り添い、その存在を認めながら、まずはそこに通うことを目標に指導されているということで、示唆に富む大変すばらしい取り組みであると感じました。
また、学習支援という面だけでなく、学校に通うことができない生徒が、学校以外で通うことのできる「居場所」として大きな役割を果たしていること、こうした学校以外での生徒の居場所の必要性も強く認識させられた視察となりました。

スクリーン資料_市川(よ)議員

こうした取組は、生徒の学校復帰にあたっての、学習の遅れという不安な気持ちを取り除くうえでも効果的であり、県立高校においても長期欠席となっている生徒に対して、学校生活に復帰できるようしっかりとした学習支援体制を整えるとともに、生徒の居場所を作ることが大切であると考えます。

そこで教育長に伺います。
県立高校における不登校を含む長期欠席の生徒への学習支援などについて、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、教育長の御所見を伺います。

教育長答弁

県立高校における不登校を含む長期欠席生徒への支援についてお尋ねがありました。
県立高校で増加している長期欠席の生徒に対し、学習支援や、安心して過ごせる居場所づくりなど、社会的自立に向けた支援は、大変重要です。
そのため県立高校では、長期欠席の生徒の学習に遅れが生じないよう、希望する生徒に、オンラインを活用して、学びの機会を提供しています。
具体的には、自宅からクラウドサービスを利用して、課題の受け取りや提出を行うほか、オンデマンドや同時双方向で、授業を受けるなど、生徒の実情に応じた支援を行っています。
また昨年度、総合教育センターでは、不登校相談に来ている高校生が、安心できる居場所として、「K-room」を開設しました。
「K-room」では、同年代との交流や、学習支援、進路支援などの取組を、生徒一人ひとりのペースにあわせて進めています。
昨年度は13人の利用があり、「自分は自分でいいと思えるようになった」、「困ったら助けてくれる大人に聞くことで、疑問を解決することができた」などの声が寄せられています。
県教育委員会としては、今後もこうした取組の充実を図り、県立高校における長期欠席の生徒への学習支援や居場所づくりなどに努めてまいります。

市川よし子要望

不登校に対する長期欠席者への支援である。答弁の中ではいただけなかったが、病気欠席のコロナ禍の実は半分が、心療的な理由で休まれていることを伺った。
大変な問題だと思っている。ぜひ、その取組、しっかりとやっていただくことを強く求めたいと思う。

6 コロナ第8波に向けた県の取組について

県が新型コロナウイルス感染症対策を開始してから、およそ3年の月日が経過していますが、報道等にもある通り、次の感染の波が到来し、感染者数が徐々に増え始めています。
県はこれまで、神奈川モデルをはじめとした対策を打ち出し、何とか第7波まで乗り越えてきたところですが、しかしながら、これまでの対策がすべて十分に機能したかと言えば、必ずしもそうとは言えず、県民の皆様が、「これで大丈夫なのか。」と不安に思うことが数多くありました。
例えば、この夏、抗原検査キットを手に入れようとしても、どこの薬局にも在庫がなく、検査キットを求めて駆け回ったが入手できなかった、という声を数多く伺いました。

秋以降は、発生届の届出対象者が限定され、多くの方がセルフテストを行うようになったことから、ますますキットの需要は高まります。県はチラシを配布するなどし、キットの常備を呼び掛けていますが、街の県民に伺ってみても、呼びかけが浸透しているとは思えないのが実情です。

また、緊急時の連絡先となる「コロナ119」については、第7波の感染ピーク時には、受電率が70%に低下し、医師につないだのは2%ということでありました。先日の予算委員会での私の質疑の中で、「年末に向けては、空振りを恐れず、予め強化していく」との答弁があったことから、当然、しっかりと対応をされていることと思います。
さらに、10月末の感染症対策協議会において、今冬は、発熱外来を受診する患者は、第7波のピーク時に加え、平日で1日約5,000人増える想定とのことであり、県は、様々な対策とともに、オンライン診療の充実を挙げています。
9月補正予算でオンライン診療のための施設整備に対する補助事業も措置し、さらに200件オンライン診療を行う医療機関を増やすと目標を掲げたところですが、実施する医療機関が本当に増えるのか、気になるところです。
第8波はすでに到来しているとも言われており、波が来るごとに感染者数が増えていることを考えても、今冬の検査キットの数やコールセンターの相談体制、県が新しく始めたオンライン診療の体制は、本当に大丈夫なのかと大変心配ですし、不安を感じる県民も多いのではないでしょうか。

そこで、健康医療局長に伺います。
再び新型コロナの感染拡大の状況にある中、県は抗原検査キットがどれくらい必要になると見込んでいて、県民が確実に手に入れられると考えているのか。また、コールセンターの相談体制をどのように充実させていくのか。さらに、コロナのオンライン診療を行う医療機関について、今の補助金への申請状況を踏まえ、どのように増やしていくのか、健康医療局長の見解を伺います。

健康医療局長答弁

健康医療局関係の御質問にお答えします。
コロナ第8波に向けた県の取組についてお尋ねがありました。
まず、抗原検査キットについてです。
抗原検査キットについては、国から、この冬、2億3千万回分のキットが確保されると聞いています。
一方で、ピーク時には、一日75万人の発熱患者が発生すると国は試算していますが、仮に、この状況が2カ月続いたとしても、患者数は延べ4,500万人であり、全体量としては、不足の心配はないと考えています。
しかし、ピーク時に需要が急増すると、一時的に流通面で支障が出る可能性もありますので、各ご家庭での備蓄を、県から引き続き、呼びかけていきます。
次にコールセンターについては、第7波を超える感染者が発生した場合でも、電話が繋がりにくくならないよう、12月中旬を目途に、体制強化を図っています。
具体的には、緊急時の連絡先となる「コロナ119」について、第7波では、45回線から95回線まで拡大しましたが、今回は、さらに139回線まで拡大します。
また、相談に応じる看護師も、第7波の50人から、113人の体制に順次増員しています。
次に、オンライン診療についてです。
オンライン診療に必要な機器に対する、補助事業については、これまでに50件以上の問合せをいただいていますが、申請は6件にとどまっています。
一方で、先月開催した、オンライン診療を行っている医師を講師に迎えた、指南塾等の説明会には、延べ約800の医療機関にご参加いただいています。
そこで、今後は、こうした医療機関に直接働きかけるとともに、関係団体を通じた広報を行い、オンライン診療の拡大を図っていきます。
こうしたことにより、第8波の備えに、しっかりと取り組んでまいります。
私からの答弁は以上です。

 

市川よし子再質問

次に第8波への対策についてですが答弁を伺って不安が非常に募った。200件の目標のオンライン診療が、現在のところ6件ということで、個人的には大丈夫か、と思った。中でも一番心配しているのが抗原検査キットである。抗原検査キットの備蓄を呼びかけるために、県はチラシを使って県民に対して呼びかけていることは一定の評価をするが、情報が多すぎて備蓄に目がいかない。備蓄をしてもらわなくてはいけないが、より端的に伝わるような工夫をこらすべきではないかと思うが、いかがか。

スクリーン資料_市川(よ)議員

健康医療局長答弁

健康医療局関係の再質問にお答えします。県では、抗原検査キットの常備を呼びかけるチラシを作成し、県内の薬局やドラッグストアにデータを提供しています。このチラシに加え、今後は、備蓄を訴えるポップも作成し、提供していきたいと考えています。

市川よし子要望

オンライン診療については、今後を考えると拡大していっていただきたい。私も応援しているが、現状を伺うと、同時流行に向けて、増えていくのか非常に心配に思っている。より積極的な取組みをお願いしたい。
それとともに、年末年始は医療体制が脆弱になるので、発熱外来を受けてくれる医療機関を一つでも多く増やすことなど、あらゆる対策を講じることをお願いしたい。第7波のときには、発熱外来に連絡しても診察してもらえないという声が相当あったので、是非しっかりやっていただくよう要望する。
検査キットについては、ネットで買えるようになったり、流通はあると言っても、実際には手に入らなかったのが事実である。感染が流行してくると買えない。これが私たちに届いている率直な声。当局の意識との乖離に危機感を覚える。
国は検査キットを介護施設や保育施設に無料で配り、健康な人に対して定期的な検査を求めているが、その一方で本当に必要としている方に行き渡っていないことがある。政策的なミスマッチを感じるのは私だけだろうか。年末年始目前である。危機感をもって対応していかれることを強く求める。

 

 

7 神奈川県職員等不祥事防止対策協議会について

県は、全ての職員にとって「働きやすさ」、「働きがい」を実感できる職場環境を目指し、働き方改革や不祥事防止対策に積極的に取り組んでいると承知しています。
しかし、今年度当初の時点で、知事部局内に約70名の休職者がいると聞いています。この中には、業務における過重労働や職場環境における上下関係など人間関係の悩みを抱えた職員がいるのではないかと考えられ、そうした問題への対応が十分に進んでいないのではないかと率直に感じています。
また、公務員として、不祥事となる不正行為が起きぬよう、職員の倫理の保持や職務の公正な遂行のための対策をはかることが求められていることは言うまでもありません。
県民のためにも、県民全体への奉仕者である職員が働きやすい環境づくり、不祥事のない職場づくりは非常に重要な課題であると考えます。
県では、不祥事を防止し、職員が働きやすい職場をつくるための基本的な対策の立案、実施に関する重要事項について意見する重要な機関として、神奈川県職員等不祥事防止対策協議会を設置していることは承知しており、同協議会の議事録をくまなく拝見したところ、不祥事防止に役立つ提言や助言も得られていると一定の理解はしているところです。
しかし、目まぐるしく変化する社会環境を受け様々な法律や制度の改正もあり、例えば性差における課題の多様化、LGBTなど新たな人権問題などかつてなかった課題への対応が必要とされている中で、現在の協議会も、今まで以上にそうした期待に応えるための機能強化が必要になってくるのではないでしょうか。協議会に今求められているのは、時代とともに多様化した課題に対応するため、多角的な視点で意見や助言ができるような体制に変えていくことであり、そのためには、例えば働く側の立場を代弁できる方に加わっていただくなど協議会委員の人選が重要であると考えます。

そこで、総務局長に伺います。
今後、神奈川県職員等不祥事防止対策協議会の体制をどのように考えていくのか、総務局長の御所見を伺います。

総務局長

総務局関係の御質問についてお答えします。神奈川県職員等不祥事防止対策協議会についてお尋ねがありました。
神奈川県職員等不祥事防止対策協議会は、県の不祥事対策の充実・強化について、意見や助言をいただくための附属機関でありまして、弁護士、公認会計士のほか、行政学、リスクマネジメント、情報管理等を専門とする学識者の方々、経済界を代表する企業経営者の6名の委員で構成しています。
これまで、各委員の専門的な知見を生かし、県の不祥事防止対策について、具体的な手法を含めた助言や意見をいただき、不適正経理の再発防止策や不祥事防止個人点検など、不祥事防止対策の実施に活かしてきました。
また、令和2年5月には、「ハラスメント及び過重労働の防止に向けた取組み強化」について提言をいただきました。
県は、この提言を踏まえ、ハラスメントの防止・根絶を「働き方改革取組方針」に盛り込み、上司と部下、同僚同士のコミュニケーションを深めることで、風通しよく、ハラスメントのない、お互いを支え合う笑顔のある職場づくりを進めています。
一方、不祥事に関する動きは変化しており、例えばハラスメントひとつとっても、ここ数年のうちに新たな問題が生じ、多様化が進んでいます。不祥事防止対策は、こうした状況の変化に的確に対応できるよう、不断の見直しが必要です。
協議会のあり方についても、対策の見直しを進める中で、検討していきたいと考えています。
私からの答弁は以上です。

市川よし子要望

最後の不祥事防止に関しては、わたくしごとと思って、私も自戒をこめて質問させていただきました。
本当に、色々な意味でこれからは色々な視点が必要になってくると思います。
今までの常識じゃないこと、今まで常識だと思っていたことがそうではないということも含めて、私たちがしっかりとそういった職員の方だけではなく、課題を共有してまいりたいと思います。

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