2026年9月10日 代表質問・報告 「特別市」になると、神奈川県警はどうなる?

9月10日神奈川県議会定例会にて、立憲民主党かながわクラブ県議団を代表し12項目にわたり質問を行いました。
順次内容を報告してまいります。

「特別市」になったら、警察はどうなるのか?

9月10日の代表質問で、私は「特別市制度」の中でも、あえて警察事務に特化して知事に質問しました。

なぜ警察なのか。

それは、特別市制度が単なる「県と市の仕事の分担」の話ではなく、県民の命と安全を守る警察の仕組みにも関わるからです。

現在、指定都市が法制化を求めている「特別市」は、道府県に包含されない新たな地方公共団体とし、現在は道府県が指定都市の区域内で担っている事務についても、原則として特別市が担うという制度構想です。指定都市市長会も、特別市を「広域自治体に包含されない一層制の地方公共団体」と位置付けています。

私たち立憲民主党・かながわクラブは、県民生活への具体的な影響が十分に示されていない中で、特別市ありきで拙速に法制化することには、現時点では反対との考えを先の定例会で表明しています。

今回、私がその中でも特に確認したかったのが、

「神奈川県警はどうなるのか」

という問題です。

特別市には「特別市警察本部」をつくるのか

指定都市市長会の現在の考え方では、特別市は道府県の区域外になるため、警察事務も特別市が一元的に担い、「特別市公安委員会」と「特別市警察本部」を設置することを前提としています。

つまり、この考え方をそのまま制度化すれば、現在、一つの神奈川県警が担っている警察事務を、特別市の区域とそれ以外の区域に分けることになります。

これは小さな制度変更ではありません。

そこで私は本会議で、警察の歴史にも触れました。

戦後、昭和22年の旧警察法の下では、当時約1,600の市町村に自治体警察が置かれていました。

しかし、市町村単位の警察では、行政区域を越える犯罪への対応や財政負担などに課題があり、昭和29年の現行警察法によって、現在の都道府県警察を基本とする体制に再編されました。

そして興味深いのは、特別市を求めている指定都市市長会自身も、この歴史的経緯を踏まえて議論していることです。

指定都市市長会の資料でも、特別市の区域とそれ以外に警察が分かれることで、組織犯罪などの広域犯罪への対応への懸念、新たな警察本部の設置や人員確保に伴うコスト増、組織分割による非効率化が論点として示されています。

では「県と特別市で共同設置」すればいいのか?

これに対して指定都市側が示しているもう一つの考え方があります。

それが、

県と特別市による公安委員会・警察本部の「共同設置」

です。

指定都市市長会は、特別市公安委員会・警察本部を設置することを基本としながらも、広域犯罪への対応などを考慮し、国の判断によっては、道府県と特別市が公安委員会・警察本部を共同設置する方法も考えられるとしています。

しかし、ここにも整理しなければならない問題があります。

県と特別市のどちらが、どの警察事務を担うのか。

警察官の指揮命令系統はどうするのか。

警察本部の予算は誰がどれだけ負担するのか。

県と特別市で意見が分かれた場合、最終的に誰が判断するのか。

そして、警察を政治から一定の距離を置いて管理する公安委員会制度を、県と特別市の二つの自治体にまたがってどのように設計するのか。

指定都市市長会自身も、共同設置の場合の長や議会の関わりについては、道府県と特別市の協議で決めるとしながら、具体的には国の関与のあり方を含め、今後国と協議する必要があるとしています。

つまり、

「共同設置すれば解決する」というところまで制度設計が固まっているわけではありません。

知事はどう答えたのか

私の質問に対し知事は、特別市が県から独立すれば、警察事務が分割されることが想定されると答弁しました。

そして、国の地方制度調査会でも、警察組織の分割によるコスト増や非効率化が課題として指摘されていること、全国知事会からも、災害やテロなどへの対応を含め、広域性を持つ警察行政を分割することへの懸念が示されているとの認識を示しました。

さらに、指定都市側が示している共同設置についても、現行制度との関係を含め、具体的な仕組みが整理されていないという趣旨の答弁がありました。

県としては、こうした警察事務への懸念も含めて、特別市の法制化に反対する立場を示しています。

私が最も問題提起したかったのは「大規模災害」です

犯罪だけではありません。

私は最後の意見・要望で、大規模災害時の警察活動を取り上げました。

熊本地震では、熊本県警が県内各地で救助活動などに当たる姿が報道されました。

神奈川県でも、首都直下地震や大規模水害が発生した時、被害が一つの市の行政区域の中だけに収まるとは限りません。

横浜で被害が大きければ横浜へ。

川崎で大きければ川崎へ。

県央、湘南、県西で甚大な被害が発生すれば、そこへ。

その時々の被害状況に応じて、県域全体を見ながら警察力を投入することが求められます。

だから私は本会議で、

「特別市になったら、大規模災害の時にどうなるのか」

という県民の懸念について、指定都市側ともしっかり議論するよう知事に求めました。

特別市制度を議論するのであれば、「二重行政の解消」といった言葉だけではなく、

警察本部はどうなるのか。
公安委員会はどうするのか。
指揮命令系統はどうするのか。
広域犯罪にどう対応するのか。
そして、大規模災害の時、県民をどう守るのか。

ここまで具体的に示した上で、議論する必要があると考えています。

特別市制度は、行政組織だけの問題ではありません。

県民の命と安全に直結する制度の問題です。

これからも具体的な論点を一つひとつ明らかにしていきます。

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