令和5年9月13日 令和5年第3定例会 代表質問の全文を掲載いたしました。

令和5年9月13日令和5年第3回定例会本会議にて市川よし子が代表質問で登壇しました。以下、質問と答弁内容になります。

令和5年第3回定例会本会議一般質問 9月13日(水)
【質問内容】
1,県政における重要課題について
(1)本県のこれからの精神医療のあり方について
(2)マイナンバーカードの保険証利用に伴う対応について
(3)地域防災における高層マンションの防災の展開について
(4)新型コロナウィルス感染症対策事業の委託について
(5)神奈川県立県民ホールの休館中の対応と神奈川芸術文化財団について
(6)県営水道事業における生活困窮者への対応について
2,かながわの子どもの未来のための取組について
(1)東京との格差解消に向けた子ども・子育て支援の充実について
(2)放課後児童クラブの待機児童対策と利用料の支援について
(3)虐待から子どものいのちを守るための条例制定などの取組について
(4)生徒の意見を踏まえた部活動の地域移行について

 

 

 

1.県政における重要課題について

(1) 本県のこれからの精神医療のあり方について
市川質問

現在、県や政令市では、精神保健福祉法に基づき、実地指導・実地審査が行われているが、十分に機能しているとは言い難く、実効性のある取組が求められる。
また、身体的拘束などについて、患者の生命や安全を守るため、行動を制限して治療を行わなければならない場合もあることは理解するが、できる限り減らす必要があると考える。
精神医療のあり方に世間の耳目が集まる中、県としては、滝山病院事件や法改正を好機としてとらえ、県内の精神科病院で人権に配慮した適切な医療が行われるよう、当事者目線で質の向上を目指していくべきと考える。
そこで、精神科病院での虐待事件や精神保健福祉法の改正を踏まえ、現在の精神医療のあり方を見直し、より人権に配慮した適切な精神医療を提供することを検討すべきと考えるが、県としてどのように取り組むのか、所見を伺う。

知事答弁

我が国の精神医療については、今年報道された都内の精神科病院での虐待事件に見られるように、患者への閉鎖的、差別的な扱いがあるのではないか、との指摘があると承知をしています。
県では現在、県立の障害者支援施設において、「当事者目線の障害福祉」を掲げ、様々な取組を行っていますが、私は精神医療においても、患者の「当事者目線」に立った医療の提供が重要であると考えています。
そしてそのためには、まず県内の精神科病院の状況を改めて把握していくことが必要です。
これまで県と政令市では、県内の全ての精神科病院に対し、毎年度、立入検査を実施し、人権への配慮など、必要に応じて指導を行ってきました。
一方で、この検査は法や規定に違反していないかという視点が中心であり、患者の生活の実態や生の声をさらに把握していく必要があります。
そこで県では、精神科病院の状況を「患者目線で」把握するには、どのような方法が有効か、関係団体等と意見交換した上で、改めて調査を行いたいと考えています。
そして、その結果をもとに対応策を検討し、各病院への指導や自主的な取組につなげていきます。
また、精神保健福祉法の改正で、令和6年4月からは、虐待を発見した場合には県や政令市に通報することが義務付けられます。
そこで県では、新たに専用の通報窓口を設け、こうした通報や相談に迅速かつ的確に対応していきます。
こうしたことにより、人権に一層配慮した適切な精神医療が提供されるよう、しっかりと取り組んでまいります。

市川再質問

知事からご答弁いただきました本県の精神医療のあり方についてです。人権に配慮した精神科医療ということをこれから目指していくということなんですが、県では、県立精神医療センターなどにおいて身体拘束を減らす取組を行っていると承知しているんですが、松沢病院のようにこうした取組をさらに進めるとともに、この取組を他の民間病院へも展開を図っていくべきと思うんですけれども、知事のご所見を伺います。

知事再答弁

精神科病院における身体的拘束については、令和2年度から、県立精神医療センターをはじめとする5つの病院で、これをできるだけ減らしていこうという取組を行っています。
これにつきましては、当初より、県内に広げていくことを考えていましたが、コロナ禍の影響で十分な展開ができませんでした。
今後、あらためてこれまでの成果を検証し、さらに取組を深めることや、他の精神科病院への効果的な展開、これを検討してまいります。

市川要望

まず今再質問でご答弁いただきました精神医療のあり方についてですが、今回滝山病院という病院で起きた事件をここで取り上げさせていただきました。
今までこのテーマはあまり議会でも本格的に議論されてきたことがなかったので、あえて取り上げさせていただきました。やはり我が県でも今当事者目線の条例を作って、中井やまゆり園でもあった虐待を無くしていこうという取組、これと同じ問題ではないかと改めて思いました。
具体的な対応をしていただけるとのことでしたが、とにかく今、年に1回監査がやられているのですが、これが本当に実効性があるのか、私も調べてみて本当にどうなのかという思いがありました。知事は患者目線とおっしゃったのですけれども、状況を把握したいというお話をいただき、調査をしたいとのことでした。まさに今変えなければならない時ではないかなと思っています。いろいろな問題があります。
今回は取り上げませんでしたけれども、滝山病院の事件では死亡退院という問題もありますし、精神医療審査会という患者さんが退院したいという申請が出せる審査会がありますが、過去5年間毎年50件ぐらい審査しているけれども、1件も認められたケースがない。ぜひこうしたことの検証が必要だと感じました。
知事は意識改革が大事だと言われておりましたが、精神医療のあり方をぜひ知事のリーダーシップで、神奈川から変えていただきたい。それを強く要望させていただきます。

(2) マイナンバーカードの保険証利用に伴う対応について
市川質問

マイナンバーカードの保険証利用について、本県の国民健康保険では、被保険者情報とマイナンバーの紐づけ等の運用は正しく行われているのか。また、マイナンバーカードを返納した場合に、医療機関で保険適用を受けられない事態が生じるのではないかと危惧されるが、資格確認書の交付など、マイナンバーカードの返納に伴う必要な手続きについて、どのように対応していくのか、所見を伺う。

知事答弁

次に、マイナンバーカードの保険証利用に伴う対応についてです。
まず、国民健康保険における、被保険者情報とマイナンバーの紐づけ等の運用についてです。
本年5月、他県において誤った登録がなされたトラブルが多く発生したことを受け、国は「個人の健康保険の情報とマイナンバーを、標準とは異なる方法で紐づけていた事例」について、調査を行いました。
その結果、本県ではそのような事例はありませんでした。
一方、県内では医療機関が患者の健康保険の内容を確認する「オンライン資格確認」において、患者の自己負担の割合が誤って表示されたシステムトラブルが114件確認されました。
そこで県では、こうしたシステム上の不具合を早急に解消し、保険証利用の運用が円滑に行われるよう、全市町村とともに、国に対して要望を行いました。
次に、マイナンバーカードの返納に伴う対応についてです。
県内では、令和5年8月末現在約650万人の方に、マイナンバーカードが交付されていますが、一方で、令和5年4月から7月までに約2,600人の方がカードを自主的に返納しています。
紙の健康保険証が廃止となる来年の秋からは、カードが市町村に返納された際、健康保険の保険者は、保険証の代わりとなる「資格確認書」を発行することとなっています。
しかしながら、現時点ではその手続きや、カードの返納の情報を保険者が把握する仕組みについて、国からは具体的な方法等が示されていません。
県としては、引き続き国の対応を注視するとともに、必要に応じて要望を行ってまいります。

市川要望

マイナンバーカードの問題ですけれども、国保は大丈夫だよというお話だったので、ちょっと安心した部分はあるのですが、問題は、マイナンバーカードを返納した方に本当に資格確認書が送られてくるのか、その方が実際に窓口に行ったら無保険状態になってしまうのではないか、ものすごく危惧されていますけれども、答弁では、国がまだ示してくれていないので全く先が見えていない状態だということで、さらに不安になりました。これは本当に県としても、来年秋には医療の現場で始まりますので、現場で混乱が起きないように、国に働きかけることも含めまして、あらゆる対策を講じていただくことを求めていきます。

(3) 地域防災における高層マンションの防災の展開について
市川質問

東京都では、本年5月に地域防災計画を改定し、「東京の特性を踏まえた『マンション防災』の展開」を位置付けている。
本県も、現在、地域防災計画の修正作業を進めている他、今年から地震被害想定の見直しに着手し、来年度にかけて新たな地震防災戦略の策定に取り組んでいると承知している。これを機に、県として、防災上の新しい課題である高層マンションの防災対策をしっかりと計画等に位置付け、在宅避難に備えた備蓄など、対策の強化を打ち出し、市の対策を主導すべきである。
そこで、本県でも、今後、高層マンションの建設がさらに進むことが想定される中、高層マンションの防災対策にどのように取り組むのか、所見を伺う。

知事答弁

次に、地域防災における高層マンションの防災の展開についてです。
本県においても、都市部を中心に、高層マンションの一層の増加が見込まれる中、その特性を踏まえた防災対策の強化は、重要です。
高層マンションは、強い地震でエレベーターが停止し、上層階が孤立する可能性があるため、水や食料のほか、停電で水洗トイレが使えない事態を想定した携帯トイレの備蓄等、在宅避難への備えが欠かせません。
そこで県は、災害時のトイレプロジェクトの一環で、今年度、在宅避難用の携帯トイレの備蓄を「市町村地域防災力強化事業費補助金」の対象に加えたほか、在宅避難者を支援するための県の備蓄を強化しています。
今後は、携帯トイレの備蓄の必要性や使用方法などに関する動画を作成するほか、現在修正中の県の地域防災計画に、在宅避難に備えた備蓄の促進を位置付け、普及啓発を強化します。
このほか、高層マンションの防災対策に関しては、 長周期地震動による長くて大きな横揺れへの対応や、ビル内での共助を担う自主防災の仕組みづくり、火災の延焼を防ぐ初期消火など、様々な課題があります。
そこで、今年度から2年間の予定で実施している、地震被害想定の見直しの中で、地震発生時、高層マンションの中で、住民がどのような場面に直面し、どのような行動や対策が必要なのか、高齢者や女性、障がい当事者など、様々な目線から検討を深めます。
この検討を基に、強化すべき対策を、次期地震防災戦略に位置付け、高層マンションの防災対策の一層の充実強化に繋げてまいります。

市川要望

続いて、高層マンションの防災の展開です。新たな課題ということで、高層マンションっていったい何階からかってこれ実はあの、一般的には定義がないんですね。横浜、東京では15階以上って言われてるんですけれども、まあこれ31メートル以上で10階以上なんて言われてますけど、この高層マンション、在宅避難、備蓄、この問題いろいろご答弁でも盛り込んでいくということで、お答えをいただきました。ぜひ、新しい課題取り組んでいただくことを求めておきたいと思います。

(4) 新型コロナウイルス感染症対策事業の委託について
市川質問

新型コロナウイルス感染症に対応してきた保健医療体制における委託事業について、他の都道府県においては不正事案が発生しているが、本県の委託事業について問題はなかったのか。また、これまでの委託事務手続きの状況を踏まえ、次のパンデミックにどのように対応していくのか、所見を伺う。

知事答弁

次に、新型コロナウイルス感染症対策関連事業の委託についてです。
まず、保健医療分野でのこれまでの委託事業についてです。新型コロナ対策では、業務を効率的に進めるため、コールセンターや患者の搬送など、様々な事業を外部に委託しました。こうした中で、特にコロナ発生初期である令和2年度は、未知のウイルスから県民の皆様の命を守るため、災害時の緊急的な契約方法を採用せざるを得ない状況がありました。
しかし、令和3年度以降は、できるだけ計画的に準備を進め、平時と同様の、原則に則った契約手続きを行っています。
また、契約後も不正や過大請求が起こらないよう、例えばコールセンターでは、対応件数とオペレーターの人数を委託先が毎日報告し、必要に応じて県の担当者が現場を訪問するなど、確認を行っています。
専門性や効率化の観点から一部を再委託したり、感染状況に応じて契約を変更することもありましたが、いずれも適正に実施していたと認識しています。
次に今後の委託事業の対応についてです。新たな感染症の発生を想定した医療提供体制の確保については、今年度改定する感染症予防計画に基づき、事前の備えを行うこととしています。この中で、例えばウイルスの検査や宿泊療養施設など、委託先がある程度特定されるものは、あらかじめ事業者や施設と協定を締結していきます。
また、緊急時に必要な事業を平時から想定して整理しておき、速やかに委託の準備を進めることで、次のパンデミックの際にも、事業者の選定などを適切に行ってまいります。

市川要望

新型コロナウイルス感染症の委託についてだが、非常時であり、イレギュラーかつ巨額な契約がほとんどだった。私も調べて驚いたが、中には当初の契約金額が3億円だったものを8回くらい契約変更し、最終的な執行金額が13億円になっていたものもあった。また、他県でも問題になった事案は再委託先で起きたものであり、私も今回、再委託、再々委託の状況についても検証したが、例えば、同じ仕事をやっているのではないかという会社や、系列会社に再委託・再々委託しているケースも散見された。今後に向けて、こちらの方もルールを明確化すべきではないかと感じたので検討を求めたい。

(5) 神奈川県立県民ホールの休館中の対応と神奈川芸術文化財団について
市川質問

財団の決算報告を見ると、休館に伴う指定管理料の減による財団の経営への影響は大きいと考えられる。
財団が、これまで、県の文化芸術振興に寄与をしてきたことは認めるところだが、県は、指定管理料の減を安易に補填するのではなく、この機をとらえ、設立の趣旨を踏まえながら、財団の担う役割や経営のあり方などについて、県としても財団とともに慎重に検討すべきであると考える。
そこで、県民ホールについては、現時点では今後の方針や再開時期はまだ示されていないが、休館に伴う県民への影響を最小限に抑えつつ、県の文化芸術の振興を更に進めていくために、県は休館中どのように取り組んでいくのか、また、神奈川芸術文化財団のあり方をどのように考えていくのか、所見を伺う。

知事答弁

次に、神奈川県立県民ホールの休館中の対応と神奈川芸術文化財団についてです。
まず、県民ホールの休館中の対応についてです。
県民ホールは、ホールやギャラリーの貸出のほか、主催事業としての作品の制作、人材育成等の取組を実施している、本県の文化芸術振興の中核拠点であります。
令和7年4月からの休館期間中、県では、県民ホールの主催事業を県内各地に出向いて実施するなど、県民の皆様の鑑賞機会を確保するよう努めていきます。
また、県民ホールにおいて実施している、文化振興にかかる多様な人材の育成や、タブレット型字幕機による、聴覚障害のある方への鑑賞サポートの取組などは、他の文化施設と連携して今後も継続していきます。
次に神奈川芸術文化財団についてです。
神奈川芸術文化財団は、県民への芸術鑑賞機会の提供、文化の創造と発信を通じて、本県の文化芸術振興の一翼を担う団体で、現在、県民ホール等の指定管理者となっています。
県民ホールの休館に伴い、施設の維持管理や貸出業務など、業務量に変更が生じることから、組織体制や職員の雇用等に影響が出ることが考えられます。
また、指定管理料の見直しに向けた協議も必要となり、見直しに伴う収入減に対応するため、財団自ら経営努力に取り組むことも求められます。
県としては、財団が培ってきた知見やネットワークの継承が県の文化芸術の振興にとって重要であると考えていることから、財団のこうした文化芸術振興の継続的な取組や効率的な運営など、今後のあり方について、財団と共に検討を進めてまいります。

(6) 県営水道事業における生活困窮者への対応について

県営水道では、福祉的配慮から児童扶養手当、特別児童扶養手当、遺族基礎年金の受給世帯、約1万2千世帯を対象として水道料金の基本料金免除という減免を実施しているが、こうした世帯はひとり親家庭が多いとされ、生活困窮者も多く含まれているのではないかと推察されるため、たとえ料金が未払いであったとしても給水を止めるべきではないと考える。
生活困窮者自立支援法の一部改正に伴い、平成31年に出された国の通知のとおり、福祉部門との連携を図っていくべきであり、まずは、県や市の福祉部門と支援会議への参画について速やかに調整を進めるべきであるが、現状では、支援会議への参画は行われておらず、私が調べた限りでは、福祉部門との連携もなかなか出来ていないのが実情と言わざるを得ない。
そこで企業庁長に伺う。①減免制度の対象である児童扶養手当等の受給世帯に対する令和3年度と4年度における給水停止の状況はどうであったのか。また、②可能な限り給水停止をしないことが望ましいため、福祉部門との連携強化等が必要と考えるが、今後どのように取り組んでいくのか、併せて所見を伺う。

企業庁長答弁

企業庁関係のご質問にお答えします。県営水道事業における生活困窮者への対応についてお尋ねがありました。
はじめに、児童扶養手当等の受給世帯に対する給水停止の状況です。これまで給水を停止したことがあるケースは、令和3年度は176世帯、延べ265件、令和4年度は176世帯、延べ288件です。
次に、今後の取組についてです。水道は県民生活に欠かせないものであり、給水区域内の全ての方に、必要とする量を安心して使っていただけるようにすることが重要です。
そのため、県営水道では、福祉的配慮の下、児童扶養手当等の受給世帯への基本料金を免除し、ひと月あたり8立方メートルの水道を無料でご使用いただけるようにしてきました。
8立方メートルを超えて使用すると料金が生じますが、その料金を滞納されている方には、納付をお願いするご案内だけでなく、訪問し事情をお聞きする中で、例えば近日中の納付が確実な場合には、それまでの間猶予したり、申出があれば福祉部門の窓口をご案内するなど、きめ細かい対応を行っています。
また、やむを得ず給水を停止せざるを得ない場合にあっても、料金が納付され次第、速やかに現場に直行し、給水を再開しています。
水道事業は、受益者負担の原則により、使用者にお支払いいただく水道料金収入を元に運営しています。公平性の観点から、「いかなる状況下でも給水を停止しない」とすることは困難ですが、今後は、福祉部門との連携をより強化し、利用者の生活の安定に繋げることで、給水停止を減らすよう努めていきます。
具体的には、生活困窮者の支援につなげるために、県や市の福祉部門が設置している支援会議に県企業庁が参画できるよう調整を進めていきます。
また、納付を促すお知らせ等には福祉部門の連絡先も掲載するなど、気軽にお問い合わせいただける環境をつくるとともに、希望に応じて自立相談支援事業等の窓口にご案内していきます。
今後も、県企業庁は県民お一人お一人に寄り添い、日常生活に欠かせない水道をお届けし続けることで、公衆衛生の維持とともに、大切な「いのち」を支えてまいります。

市川要望

生活困窮が窺われる減免世帯に給水停止している状況を伺いましたが、県営水道で年間300件程度が給水停止されているという実態に驚いています。
子どもの貧困に着目して質問しましたが、今回いくつかの対応を検討していただけるとのご答弁がありました。それは非常に評価するところです。児童扶養手当等の減免世帯で滞納の状況を把握した場合は、支援会議で情報を共有する、福祉部門につなげる、という、給水停止ではなく、寄り添う姿勢でご対応いただくよう要望させていただきます。

2.かながわの子どもの未来のための取組について

市川質問

(1) 東京との格差解消に向けた子ども・子育て支援の充実について
本県と東京都の子ども子育て支援に係る取組を比較すると、まずその差に課題があるのが、保育料における多子世帯の支援である。東京都では、来月から、第1子の年齢にかかわらず、第2子の保育料無償化を行うことを予定している。
また、私立高校に通う生徒への学費補助制度についても課題がある。本県では、授業料の実質無償化の対象を年収700万円未満までの世帯としているが、東京都では910万円の世帯まで実質無償化の対象である。
本県の学費補助制度も、国の就学支援金に上乗せする形で独自の補助を行っており、徐々に補助対象を拡充してきたことは承知しているが、神奈川県で子育てしたいと思ってもらうには、東京都との学費補助の差を少しでも解消し、子育て世帯の教育費負担を軽減することが必要と考える。
そこで、多子世帯の保育料への支援を拡充するべきと考えるが、所見を伺う。また、本県の私立高校の学費補助制度を拡充すべきと考えるが、所見を伺う。

知事答弁

かながわの子どもの未来のための取組について何点かお尋ねがありました。
まず、東京との格差解消に向けた子ども・子育て支援の充実についてです。
はじめに、多子世帯の保育料への支援についてです。国は、令和元年10月から、3歳以上の子どもの保育料を全て無償化しています。
また、3歳未満の子どもがいる多子世帯については、第2子を半額、第3子を無償としていますが、第1子が小学校に就学すると、多子世帯と見なされず、減免が適用されないことから、経済的負担は大きくなります。
多子世帯の経済的負担の軽減については、保育料への支援の在り方も含め、総合的に検討してまいります。
また、こうした負担軽減策については、本来、全国一律の制度で対応すべきと考えており、県は、今後も様々な機会を捉えて、3歳未満児も含む保育料の完全無償化を早期に実現するよう、国に要望していきます。
次に、県内の私立高校に通う生徒への学費補助についてです。
本県では、県内の私立高校に通う生徒に対し、国の就学支援金に上乗せをする形で、入学金や授業料に対する県独自の補助を行っています。
これまで、補助対象となる世帯の所得額を段階的に引き上げながら学費補助の充実を図ってきており、令和2年度からは、授業料が実質無償化となる対象を年収約700万円未満の世帯まで拡大しました。
さらに、令和4年度からは、子どもが3人以上いる多子世帯について、実質無償化となる対象を年収約800万円未満まで拡大しました。
本県の学費補助制度に対しては、実質無償化の対象となる世帯年収の更なる引き上げなど、様々な意見や要望をいただいており、県では、引き続き関係団体などと丁寧に意見交換を行い、多面的な視点から検討していきます。
県は、希望する人が、希望する人数の子どもを持つことができ、子どもたちが健やかに成長できる神奈川を目指して、しっかりと取り組んでまいります。

市川再質問

私立高校に通う生徒への学費補助について、再質問を行う。
これについては、本県では令和4年度から多子世帯支援を新たに始めたが、実は本県が示している多子世帯の条件を見ると、子どもが3人以上いる多子世帯で、兄弟が年齢15歳以上23歳未満となっている。この条件しか認められていない。よくよく考えるとほとんど入らないのではないか。これでは条件が厳しく活用できないといった声もある。
ついては、より多くの多子世帯へ必要な支援が届くよう年齢条件を緩和すべきと思うが、知事の所見を伺う。

知事再答弁

多子世帯の年齢要件につきましては、高校生、大学生と一時的に教育費の負担が集中する15歳以上23歳未満としたところです。
そうしたなか、多子世帯への支援における年齢要件についても、意見をいただいているところであり、課題の一つと考えています。
県では、こうした声を受け止め、これまでの見直しの効果などを検証するとともに、引き続き関係団体などと丁寧に意見交換を行いながら、検討してまいります。

市川要望

年齢の条件はどのくらいなのか。まだ、百何十件位しかないと伺ったので。ぜひ見直しの対象としてもらいたいと強く要望する。
東京との格差に向けた子ども子育て支援の充実についてであるが、先ほどの代表質
問でも述べたように、私の地元の川崎市では、9月4日の市議会の冒頭において、
市長が多子世帯への支援を打ち出し、報道にもなった。東京との格差については、川
崎市が多摩川を挟んで東京と隣接していることもあり、中学校給食の無償化など多く
の要望を強くいただいている。そのため、子育てをするなら神奈川で、と多くの人
に言ってもらえるような取組を知事に強く要望する。

(2) 放課後児童クラブの待機児童対策と利用料の支援について

市川質問

子どもが成長し、小学校に就学しても、保護者が安心して働き続けられるよう、放課後児童クラブの待機児童対策に取組むことが今後ますます重要となってくると考える。
放課後児童クラブの整備や運営は市町村の役割であるが、財政的な制約などにより、必要性を感じてはいても対策に踏み出せない市町村を支援し、後押しすることが必要であると考える。
そこで、放課後児童クラブの待機児童対策と利用料の支援について、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺う。

知事答弁

次に、放課後児童クラブの待機児童対策と利用料の支援についてです。
保護者が仕事と育児を両立でき、子どもが安心して放課後を過ごすことができる環境づくりとして、放課後児童クラブは大変重要です。
県では、放課後児童クラブの整備費の補助を行っており、本年5月1日時点の速報値で県内のクラブ数は1,424か所と、10年前の約1.5倍に増加しています。
また、クラブで児童への指導を行う放課後児童支援員の養成研修も行っており、平成27年の制度開始から11,816人の支援員を養成するとともに、人件費補助などによる処遇改善を進め、人材確保に努めてきました。
こうした取組みにより、放課後児童クラブを利用する登録児童数は、本年5月1日時点で約88,000人と、この10年で約2倍となっていますが、放課後児童クラブの待機児童が862人とまだ多く、今後も利用ニーズの増加が見込まれることから、さらなる受け皿等の確保が必要です。
また、各市町村からは、ひとり親世帯等の経済的負担を軽減するため、利用料の減免に対する補助制度の創設を要望されています。
そこで、受け皿の増に向けて、放課後児童クラブや放課後児童支援員の確保策について検討していきます。
また、放課後児童支援員については、国が6月に閣議決定した「こども未来戦略方針」において、常勤職員配置の改善などを図るとしており、今後の国の動向を注視していきます。
さらに、利用料については、一部の市町村で低所得世帯やひとり親世帯に対し独自に軽減措置を行っていることから、その実施状況や効果についてヒアリングを行った上で、支援のあり方を検討してまいります。

(3) 虐待から子どものいのちを守るための条例制定などの取組について

市川質問

県には、児童虐待防止に関する条例がなく、保護者への指導は、専ら児童福祉法や児童虐待防止法を根拠に実施しているが、私は、県においても、こうした条例を制定する必要があるのではないかと考える。
しかしながら、条例の制定については、十分な調整や準備が必要であるため、実現までに相当の時間を要することも承知しており、何より大事なのは、児童虐待から子どもを守るため、弁護士など専門家の積極的な関与や親へのカウンセリングなど、課題を抱えた保護者のサポートを早急に進める必要があると考える。
そこで、県は、虐待から子どものいのちを守るために、条例の制定を検討すべきと考えるが、所見を伺う。また、児童相談所による保護者への指導・支援の強化についてどのように考えているのか、併せて、所見を伺う。

知事答弁

最後に、虐待から子どものいのちを守るための条例制定などの取組についてです。
児童相談所における虐待対応においては、何よりもまず、子どものいのちを第一に考えながら、すべての子どもが心身ともに健やかに育つよう、家庭環境の改善に向け、保護者への支援や指導を行っています。
県では、急増する虐待相談に適切に対応するため、児童福祉司をこの5年間で倍増させ、弁護士等の配置や、すべての虐待事案についての警察との情報共有など、支援体制の充実を図ってきました。
しかし、虐待相談は複雑困難化しており、保護者と良好な関係を築くことが難しい事案も多く、より丁寧な支援、指導が必要となっています。
そこで、市町村や女性相談所など、子どもや保護者に関わる関係機関との連携を一層強化し、家庭の抱える課題やその背景をきめ細かく把握していきます。
また、医師、弁護士などを含めた多職種支援チームが各事案の検討に加わって、親子関係や家庭環境のアセスメントを綿密に行い、複雑困難化する事案に対応していきます。
さらに、大和市の虐待事案の検証委員会から、令和5年4月に提言のあった、子どもと保護者を一定期間一緒に保護して、生活状況等をモニタリングし、親子関係の改善につなげる新たな仕組みについて、国に対し、県と共同で検討するよう働きかけていきます。
こうした取組を速やかに進めていくとともに、今後、こども基本法に基づき策定する「県こども計画」の中にもしっかりと位置付けていきます。
このように、県では、児童虐待防止法等に基づき様々な取組を行っています。
ご提案のありました条例の制定については、これまでの取組を改めて検証した上で、虐待防止に向けて、どのような内容であれば実効性を担保できるのか、国や他の自治体の動向を注視しながら、その必要性について研究していきます。
県は、保護者に対する支援や指導を充実させ、家庭環境の改善を図り、かけがえのない子どものいのちを守ってまいります。
私からの答弁は以上です。

市川要望

子どものいのちを守る取組ということで、いくつかいただきましたが、本当に、子どものいのちを守るための取組、児相も一生懸命やってますけれども、いろんな課題があります。これについても、しっかりとですね、取り組んでいただき、やっぱり子どもだけを守っても、保護者が変わっていただかないとなかなか変わらないということ、これも是非ともですね、保護者へのアセスメント、これも取り組んでいただくことを求めまして、わたくしの代表質問を終わらせていただきます。

(4) 生徒の意見を踏まえた部活動の地域移行について

市川質問

今後、公立中学校の部活動の地域移行を円滑に進めるためには、活動の主体となる中学生が、地域移行についてどのように考え、どのような期待を寄せているのかといった、当事者目線からの検討が必要であると思う。
そこで、部活動の地域移行にあたっては、当事者である中学生の生徒の意見をしっかりと把握したうえで、取組を進める必要があると考えるが、所見を伺う。

教育長答弁

教育関係のご質問にお答えします。生徒の意見を踏まえた部活動の地域移行についてお尋ねがありました。
市町村が地域の実情に応じて、部活動の地域移行を進める際の参考となるよう、県教育委員会では、現在、関係機関等と連携して、県としての方針策定に取り組んでいます。
本年6月には、その素案を議会にご報告したうえで、7月から県民意見募集等を行ったところ、900件を超える、大変多くの意見をいただきました。その中には、教員の負担軽減を期待する声や、保護者の経済的負担を懸念する声などのほか、「部活動の主体である子どもの意見や要望を聞いてほしい」といった意見もありました。
部活動の地域移行を検討するにあたって、当事者である中学生の意見を聞くことは大切であり、県内では、既にそうした取組を実施している市町村も見られます。
そこで、素案から方針案とする検討の中で、「アンケートやヒアリング等を実施し、保護者や子どもたちのニーズや課題の把握に努める」ことを、市町村の役割に、改めて明記することにしました。
県の方針案は、今定例会でお示しし、来月中を目途に、方針として策定したいと考えています。県教育委員会としては、こうした取組によって、市町村が、中学生の意見を把握したうえで、部活動の地域移行の検討を進められるよう、今後も関係機関等と連携しながら、しっかりと支援してまいります。
答弁は以上です。

〒212-0052 
川崎市幸区古市場2-112-19 YSビル1F
TEL:044-540-6789 
FAX:044-540-6787
E:mail:happy@happy@ichikawa-yoshiko.jp
© 2019 市川よし子